★硬派ヨーロッパ流フリー・テナー&ソプラノサックス・インプロヴィゼーションの大家・重鎮:エヴァン・パーカー(1944年英国のブリストル生まれ)の、長らく同時並行的に推進してきた2つのトリオのうちの1つ、→バリー・ガイ(b)&ポール・リットン(ds)との鉄壁チーム(因みにもう一方はA・v・シュリッペンバッハ-pを親分格とするパーカー&P・ローフェンス-dsとの3人組)による、本盤は、2017年10月、リトアニアのヴィリニュスで開かれたVilnius Jazz Festivalでのコンサートの模様を収めた白熱ライヴ編。
★極めて高純度にアブストラクトであり、同時に、スピリチュアルであったりレイジー・スモーキー&グルーヴィーであったりもする、硬質さと旨味を兼備した滑脱自在な肉太いテナー・ブロウが力強く炸裂して雄渾なる華を成し、ベース&ドラムもハイテンション&エネルギッシュにこれに喰らいついて、荒れ狂う怒濤の如く圧倒的興奮と感動に満ちた超エキサイティングな激烈ロマン世界を形成、かと思えば、パーカー得意の半メカニカルなキュルキュル吹きが飄々と繰り出されて、グループ全体も記号的・信号的な怪しいノイジー傾向を強めていったりと、何げに振り幅に富んだ予断を許さぬスリリング&ドラマティックな全力投球の連続で、大いに楽しませてくれる濃密内容。
★ヨーロッパ流フリー・インプロヴァイズド・ミュージックの一典型とも云える、雑色性に満ちた完全自由形でありながらしかしワイルドでアツい情魂味にも決して事欠かない、パワー・ミュージック傾向と思索瞑想的or実験的な趣とがいい按配で融和した、瑞々しいスリルそして昂揚感一杯の迫真インプロ・インタープレイがイキイキと展開され、一瞬の隙も逃さず轟然と(或いはチョコマカと)雑音をぶつけてくる風な、リットン(ds)&ガイ(b)の異形の大攻勢〜疾風迅雷ぶりも素晴らしいが、やはり何よりパーカー(ts,ss)の、充実しきったポジティヴな気力・覇気を十二分に感じさせる、実にエモーショナルな揺るぎなく悔いなき完全燃焼の奮戦、そのキレ・冴え渡り様が傑出している。
→冷厳でハード(でちょっと隠微)なアヤしい密室実験っぽいテイストを湛えた、キュルキュルキイキイと音をヒズませつつ執拗に迫る半ばノイズ的なアプローチと、よりマトモな音響美を尊守しながらのドライヴ感もみなぎったダイナミック咆哮、のミックス展開が殊の外生鮮この上ないエキサイト気分を満喫させてくれ、とりわけ本盤では後者の、おおらかでパワフルな伸び伸びとした(そして猛々しい)スピリチュアルめブロウの齎す壮快感が、胸もすくようでバツグンだ。
1. Part I 14:51
2. Part II 22:06
3. Part III 16:59
4. Part IV 3:32
Evan Parker (tenor saxophone, soprano saxophone)
Barry Guy (bass)
Paul Lytton (drums)
2017年10月15日リトアニアのヴィリニュス、Russian Drama Theaterで催されたVilnius Jazz Festivalに於けるライヴ録音
レーベル:
NoBusiness
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CD