★耳なじみのスタンダードに対する思い掛けなく鮮烈かつ魅惑的な解釈。メロディ解釈の冴えとリハーモナイズの巧さが相乗してのことだろうが、ここまでくると創作に近いとさえ感じる。
★ブルーノ・アンジェリーニは、アトリエ澤野が推挙してきたジャズ・ピアニストの中で最もミステリアスな存在と言えるだろう。マルセイユ出身のブルーノ(1965年生まれ)は、Sketchからピアノ・トリオ作『アンプラント(Empreintes)』でアルバム・デビューした(オリジナル曲集)。それは濃密な官能性を感知させる情調とロマンティシズムに満ちていることでは、ジャン・フィリップ・ヴィレ・トリオの諸作や最近のピエール・ステファン・ミシェル・トリオと並び立つ程の、いわばロマンチカ系の逸品と言える内容だった。独特の和声感覚も印象的だった。そのことはオリジナル曲の場合のみならず、解釈のときでも特徴となって現れるブルーノの本質であることが、このスタンダードを中心に据えたセカンド・アルバム『ネヴァー・アローン』で明らかになった。
★たとえば憂愁味の表出の勝った解釈が正統的なものとして受け入れられてきた「サマータイム」「時には母のない子のように」「レフト・アローン」等々が、ここまで大胆に改編・変奏されて、陰陽や明暗を区別しがたい響き・情調をかもしだしている例は思い出せない。思いがけないけど鮮烈かつ魅惑的な解釈がつづく。要は、メロディ解釈の冴えとリハーモナイズの巧さが相乗してのことだろうが、ここまでくると解釈というより創作に近いとさえ感じる。一体この発想はどこからきたものだろうか?良質のミステリー作品のように解読意欲をかきたててくれる。(Text by 岡島 豊樹)
1. Immersion
2. Laura
3. Blue Monk
4. Where Flamingos Fly
5. Seasons In The Sun
6. Summertime
7. Lover Man
8. Sometimes I Feel Like A Motherless Child
9. When Sunny Gets Blue
10. Love Isn't Everything
11. Left Alone
Bruno Angelini (piano solo)
2006年 録音
在庫有り
デジパック仕様CD
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