★先頃のデビュー・アルバム:「Dreamer」(2017年録音・Prophone)が好評を博していた、スウェーデンの若手ピアノ俊英:ヨエル・リュサリデス(1992年スウェーデンのストックホルム生まれ、ストックホルムの南ラテン音楽高等学校やストックホルム音楽大学でジャズ・ピアノ並びにクラシック音楽を学び、ピアニスト&作編曲家として幅広く活躍中)の、今回もまた前作と同じ顔ぶれのトリオを率いての第2作、=オリジナル曲集。
★折り目正しくきめ細やかで透明感に溢れ、かつ、硬質さや揺るぎない芯の据わり様を呈した、中々堅牢なクリスタル風タッチのピアノが、ヨーロッパ耽美浪漫派の典型を示したセンシティヴでアンニュイなしっとり感漂う哀愁フレージングや、よりダイナミック&リズミカルな精悍さあるアクション節など、滑脱に緩急を描くメロディック・プレイを流麗かつ丹念に繰り出して瑞々しい華を成し、ベース&ドラムの機動性や遊撃性に秀でたシャープ&フレキシブルなサポートも、この上なくスリリングかつテイスティー・グルーヴィーに魅力を際立たせた、全体に端麗で味わい深くもスパイス的刺激性充分な、歯応えある好演内容。
★旋律美や細かな詩情〜ある種の文学性、を要とした、現代ヨーロピアン抒情派ピアノ・トリオの正統らしい、ロマネスク&エレガントそしてサスペンスフルな、丹誠こもったデリカシーorニュアンスに富む妙演がじっくりと展開され、精確巧緻にリズムを刻む一方で独特のたゆたい流れるような浮遊感をも醸成するベース&ドラムの自在な立ち働き、に適宜誘導されながら、リュサリデス(p)の、表情変化はそれなりにあるも基本は優しく柔和な落ち着いたテンダー傾向を身上とする、加えて云えば極めて繊細に機微を掬い取ってゆくかの如き、メロウ&クールなアドリブ技が抜群の鮮度で超清新に冴え渡って出色だ。
→力学性を強調した鋭敏でパワフルな立ち回り攻勢や、明るくマイルドでおおらかな牧歌路線、辺りもいいが、やはりその本領は、マイナー調でしんみりしみじみと心象風景の深淵を細密に映し出してゆく風な、物悲しく憂きメランコリック&ファンタジックな哀切フレーズにこそ遺憾なく発揮されている感じがあり、そうしたちょっとメディテーショナルで儚げな筆運びのあり様は、誠に幽玄豊かでえも云われず白眉。
01. Vilse
02. Circling
03. Walking Tune
04. Still
05. Eon
06. Wu Tao-Tzu
07. Fado (solo piano)
08. Denial
09. Meditation
10. Free At Last
11. A Better Place
Joel Lyssarides (piano)
Niklas Fernqvist (bass except 07)
Rasmus Svensson Blixt (drums except 07)
2019年 スウェーデン作品
レーベル:
Prophone
在庫切れ
可能な限りお取り寄せ致します
デジパック仕様CD