CATFISH RECORDS

★北欧(フィンランドやスウェーデン)と米国(NY)を往来しつつ精力的に活躍し、澤野やヴィーナスよりの諸作に好評を集めてきたロシア(旧ソ連)出身の人気ヴェテラン・ピアニスト:ウラジーミル・シャフラノフ(1948年旧ソ連のレニングラード生まれ)の、今回は、強力コンビ＝ピーター(b)&ケニー(ds)のWワシントンと組んだトリオによる、益々絶好調の快作。

★陰影濃く重みと硬質感ある、また滑らかさとキレのよさ・鋭角性とが絶妙に合わさった、石を転がすような骨太くも旨味たっぷりなタッチのピアノが、バップ・ピアノの伝統にしっかりと根を下ろした殺陣風のハードで渋いダイナミズムの醸成と、親しみやすいマイルドな歌心表現、とを融和させつつの、バランス感覚抜群な流れるが如く鮮やかな翳りある人情肌プレイを粋に紡いで、ちょっと燻し銀っぽくもある何とも滋味深い華を成し、ベース&ドラムのガッチリとツボを心得た(ツボにハマッた)、ヘヴィーウェイトであり小気味よく敏活でもある安定したスウィンギン鳴動も、中々強力にグルーヴを高めて頼もしげな魅力を揮った、全体に「安心」と「スリル」が実に按配よく兼ね合った何げに練達な会心打内容。

★ハード・バップらしい苦味走った硬派なアクションの迫真力や緊張と、歌物指向ならではの取っ付きやすい抒情性〜キャッチーさ、がごくナチュラルに均衡した、誠に上手い匙加減のメロディアス・スインギー快演が、一定の精悍さを保ちつつも和気あいあいそうに展開され、Wワシントンのスケール・ワイドで揺るぎなく確固たる極太いサポートにしっかり支えられながら、シャフラノフ(p)の、衒いなく巧まざる物腰の内側からじんわりと醸熟のコクが滲み出てくるような、あくまで自然体かつ結構律儀っぽい正攻法のアドリブ技が、余情豊かで懐深い冴え渡り様を悠々見せて、全くゴキゲンだ。
→バップ・イディオムに則った昔気質のスクエアー感ある角々した立ち回り節や、それに小唄フィーリングを加味したシブめの哀愁歌謡的フレージング、ブロック・コードを活かした軽快でファンキーなアプローチなど、一貫して人情娯楽派の王道を行く極めてオーソドックスなプレイに徹するも、アウトラインとしては明朗でありながら決して甘すぎない、微妙にくすんだようなちょいダーク・スモーキーな鳴音イメージに自ずと仕上がっており、その、ごく平易でいて雅趣めいた幽玄漂うたたずまいは絶品。

01. ウィズ・マリス・タワーズ・ノン
02. メイビー・セプテンバー
03. ビヨンド・ザ・ブルーバード
04. エンジェル・アイズ
05. 今宵の君は
06. ダーン・ザット・ドリーム
07. ミーン・ホワット・ユー・セイ
08. ゼイ・セイ・イッツ・スプリング
09. リラキシン・アット・カマリロ
10. エクリプソ
11. スムーズ・アズ・ザ・ウィンド
12. カップ・ベアラーズ
13. グラッド・トゥ・ビ・アンハッピー

Vladimir Shafranov ウラジーミル・シャフラノフ (piano)
Peter Washington ピーター・ワシントン (bass)
Kenny Washington ケニー・ワシントン (drums)

2019年4月11日,12日ヴァン・ゲルダー・スタジオ(米ニュージャージー州イングルウッド・クリフ)録音
解説:岡島 豊樹

レーベル：ヴィーナスレコード

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国内制作CD