CATFISH RECORDS

★70歳を目前にして益々意気盛んな快調ぶりが続くイタリア〜ヨーロッパ抒情派ピアノの最高峰:エンリコ・ピエラヌンツィ(1949年イタリアのローマ生まれ)の、今回は、トーマス・フォネスベック(b)&ユリシズ・オーウェンズJr.(ds)とのまた強力な新インターナショナル・トリオによる、コペンハーゲンで吹き込まれた一編。(デンマークのStoryville原盤)。

★端正でキレのいい小石風の、鋭角さと潤いを兼備したタッチのピアノが、ある時はメロディーとハーモニーの美の極致を体現する風なロマンティックな哀愁節をしっとりと綴り、またある時は圧倒的ダイナミズムと中々濃い口なブルースイズム(或いはバップイズム)をパワフル&スリリングに映し出した硬質アクション技をも凛然・毅然と繰り出し、緩急メリハリ充分のドラマティックな、そして雄渾なる躍動的リリシズム世界を形作って、清新かつ芳醇に堂々たる華を成し、一方、妖しくも敏捷にシャカシャカと蠢くコク味もこってりのベースや、シャープな斬り込みワザとドスンバスンとヘビーにバウンドする体当たり的アタック!を細かに交差させるドラム、らも各々存在感一杯に拮抗(&協調)を見せた、全体を通じ切れ味抜群な立ち回りの迫真性と深遠な浪漫・詩情の味わい豊かさ、とが十二分に堪能できる充実の敢闘内容。

★ピエラヌンツィならではの独特なダークネスを含んだ抒情傾向と、よりストレートアヘッドなダイナミック・スウィンギンさやブルージー・バピッシュさ、とが絶妙に掛け合わされた、フレッシュ・サスペンスフルにしてテイスティー・グルーヴィーな自在機動型のリリカル奏演が溌剌と展開され、律動性満点ながら随所で意表も衝いてくる、フォネスベック(b)&オーウェンズJr.(ds)の遊撃的サポートに上手く刺激されつつ、ピエラヌンツィ(p)の、ジェントル・スマートでいてまた一段とノリにノッた瑞々しいアドリブ・プレイが、ひたすら鮮麗に冴え渡って実に爽快だ。

→心象風景の奥底へじっくりと降りてゆくような、陰影濃く「ビタースウィート」と「マイルド・テンダー」の間を往来する(同時にブルース由来の渋味を垣間見せたりも・・・)バラード・コンセプトのアプローチや、朗々とおおらかに闊歩する牧歌的ロマネスク節、更には、硬派に徹した殺陣風の駆け足スイング攻勢、並びにそれとエヴァンス的甘美要素のミックス文脈など、どの行き方にも結構スカッと簡潔明晰に、しかも余情〜幽玄豊かにさすが超練達した(加えてバッチリ余裕ある)絶好調ぶりを示していて、全く見事。

01. フリー・ヴィジョンズ
02. ナイト・ワルツ
03. アンネ・ブロムスター・サング
04. ユー・ノウ
05. フリー・ヴィジョンズ2
06. フリー・ヴィジョンズ3
07. アルト・カン・スケイ
08. フリー・ヴィジョンズ4
09. ブラウン・フィールズ
10. ドリームス・アンド・ザ・モーニング
11. ワン・フォー・ユリシズ
12. オルファネス

Enrico Pieranunzi エンリコ・ピエラヌンツィ (piano)
Thomas Fonnesbaek トーマス・フォネスベック (bass)
Ulysses Owens Jr. ユリシズ・オーウェンズJr. (drums)

2019年3月10日デンマーク-コペンハーゲンのThe Village Recording録音

レーベル：Solid (Storyville原盤)

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