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60余年のプロ・キャリアを持つ福岡の“レジェンド・ベーシスト”:川上俊彦(1939年福岡県朝倉郡筑前町生まれ)の、満を持してCD2枚組・全曲オリジナルで挑んだ入魂渾身の初リーダー・アルバム、にして残念にもつい先頃=2019年8月31日、川上氏の急逝によりラスト・アルバムになってしまった、極めて濃密な一編。
★編成的には、ピアノ・トリオを軸としながらも過半数のトラックでアルトサックスが加わり、また女性ヴォーカル入りも2曲。ドッシリ重厚で揺るぎなくも敏活にドライヴ感を醸成しつつ力強く律動し、大きくスイングする骨太いベースや、表情細やかでいて結構シャープにエッジの利いたドラム、らに頼もしく支えられ、また適宜煽られて、カッチリ固く堅牢なストーン風タッチのピアノの、バップ・イディオムとファンキー節を変らず根幹とした、ちょっと昔気質っぽくもある全くブレのない、そして迷いのない確たる旨口プレイや、柔らかな丸みor滑らかさとキュッと絞ったような鋭い締まりを併せ持つイキのいいトーンのアルトの、アーシー&ソウルフルで歌謡フィーリング一杯の伸びやかな舞い泳ぎ様、更には、艶やかかつ低く落ち着いた厚み&安定感ある声質でじっくり腰を据えて丁寧に哀愁的情景を映し出す女性ヴォーカル、などが極めて味わい濃くカラフルに見せ場を繋いでゆく、一貫してリキみや衒いのない全き正攻法でありながら非常に密度の高い敢闘内容。
★徹頭徹尾メロディアス&スインギーでシンプル・ストレートな潔き真っ向勝負の明朗娯楽活劇的ハード・バップ快演、が嬉々として和気あいあいと愉しげに展開され、随所に浮かび上がっては中々強力にバネの効いたダイナミック&スピリチュアルな歌い躍り様を意気揚々と披露する川上(b)の、実に若々しい、そして温もり溢れるハジケっぷりもコク味こってりに魅力を際立たせる中で、浦(as)や緒方(p)の、きららかなスター性と人情味に満ちたアドリブ奮戦が、ひたすらおおらかかつテイスティー・グルーヴィーに冴え渡ってゴキゲンだ。
★浦(as)の、「ファンキー・バップと歌心の権化」(=生粋ハード・バッパー&生粋メロディスト)たる、モダン・ジャズ・アルトの本道ド真ん中を悠々と突き進む、絶妙にパンチも利いた波乗りメロディック・ブロウが晴々朗々と至極真っ当に、至極デリシャスに鮮やかな華を成していてスカッと爽快この上なしで、一方緒方(p)の、陰影深くゴツッとした殺陣風の鋭角的・岩石的バップ・アクションや、軽涼感を強めたりブロック・コードを活かしたりの粋でイナセなブルージー小節、そしてまた、より現代感覚を濃くしたマイルド・ロマンティックなバラード表現など、こちらもあくまで王道にしてチョイ渋めな練達妙技が、バッチリとツボにハマッていて好インパクト。
Disc 1- Chance It:
01. Kogushi
02. Lady Alfie
03. Will You Have One Another Cup?
04. A little Lullaby
05. Chance It
06. Spring In Your Step
07. My Book, P.C
08. Samba ARISA
09. Just Like It Used To Be
10. If Only I Could See You Again (lyrics by チバ・マサミ & Mayumi)
Disc 2- What's Up:
01. What's Up
02. Waltz For A
03. The Sooner The Better
04. Walkin' & Taikin'
05. May Green
06. Spinning Top
07. T's Easy Blues
08. The Shake
09. Just A Tune For T
10. Lady Alfie (lyrics by Mayumi)
11. ・・・
*composed & arranged by 川上 俊彦
浦 ヒロノリ (alto saxophone on Disc 1 - 04, 08, 10, Disc 2 - 01〜09, 11)
緒方 公治 (piano)
木下 恒治 (drums)
川上 俊彦 (bass)
Mayumi (vocal on Disc 1 - 10, Disc 2 - 10)
2019年4月4日,5月8日,9日久留米シティプラザ C ボックス録音
レーベル:
くすミュージック
在庫有り
国内制作・2枚組CD
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