★クラシックからジャズに転向し、仙台を拠点に活動、先年(2016年リリース)のデビュー・アルバム:「Comfort」がロングセラーの大好評を博していた、確かな実力と独創的センスを有する女性アルト&ソプラノサックスの逸材:名雪祥代(宮城県遠田郡美里町出身)の、セルフ・プロデュースによる待望のセカンド・アルバム、=今回も谷川賢作(p)をフィーチュアしたワンホーン体制(4曲にパーカッション参入)での好編。
★キュッと締まっていながら柔らかな丸みっぽさや弾力感も自ずと備わった、団子を思わせる美味しいトーンのアルトが、明るく晴れ晴れとしたおおらかな歌謡性と吟醸的ブルース・フィーリング溢れる、パンチが利いていながら適度に脱力した波乗りアクション風のメロディック・プレイを溌剌と、スイスイ紡いで誠に爽やかな、涼風が吹き抜けるかの如き瑞々しい華を成し、よりシャープに甲高く尖ったトーンのソプラノ(今回はソプラノの曲の方が多い)による、優しく濃やかにさえずるような半思索的かつ詩情満点の滑脱吹奏や、骨芯にブレなき硬角質タッチ・ピアノのマイルド・テンダーで吟遊詩人っぽい哀愁節、といった辺りもこれまたきららかに清新な魅力を際立たせた、一貫して開放的でイキイキしていつつ聴く者をホッと温かに和ませてくれる、何げに練達な会心打内容。
★リズム・スタイルは適宜ヴァラエティーに富むもあくまで歌心とスイング感の分かりやすい体現、に主眼の置かれた、明快でシンプル・ストレートな人情娯楽指向の現代ハード・バップ快演が、歯切れよく力強くもインティメイトな和気あいあいのリラクゼーションを底流させながら愉しげに展開され、ツボを心得たリズム陣のキッチリと精確巧緻にスイングする鉄板にしてニュアンス細かなサポート、に頼もしく支えられて、名雪(as,ss)の、肩肘張らず自然体で伸び伸びと宙を遊泳するようなアドリブ技が、最高に清々しく生鮮度抜群の、そしてちょっぴり渋旨な冴え渡り様を見せてゴキゲンだ。
→アルトによる、クール・スウィートだったりファンキーだったりの、モダン・ジャズ・アルトの伝統に深く根を下ろした芳醇滑脱なフレージングや、よりポップであったり牧歌調であったりの今日色を増したアプローチ、などにひたすら悠々と本領が発揮されており、また、ソプラノに持ち替えての、音色は幾分かシャープではあるがしかし、どこまでもまろやかな「歌い手」「メロディスト」たる本性に揺るぎないところを見せる、嬉々としたその美旋律の泉ぶりも秀逸。折り目正しく端正かつソリッドに抑えを利かせた谷川(p)の、含蓄豊かな助演も光る。
01. 夏秋冬春 (Manabu Hashimoto)
02. Hananoca (Sachiyo Nayuki)
03. Forro Rugosidade (Sachiyo Nayuki)
04. Snow Leopard's Dream (Kensaku Tanikawa)
05. A Song After Dark (Kensaku Tanikawa)
06. A Nice Little Thing (Sachiyo Nayuki)
07. Deformation Of Love (Sachiyo Nayuki)
08. Smoky Mist (Sachiyo Nayuki)
09. はるにれの詩 (Sachiyo Nayuki)
10. Que Bacana (Sachiyo Nayuki)
11. さくら咲く日に (Yuta Omino) (ss - p - b trio)
名雪 祥代 Sachiyo Nayuki (alto saxophone on 01, 03, 06, 08, 09) (soprano saxophone on 02, 04, 05, 07, 10, 11) (多分melodica on 02)
谷川 賢作 Kensaku Tanikawa (piano) (多分melodica on 02)
小美濃 悠太 Yuta Omino (contrabass)
橋本 学 Manabu Hashimoto (drums except 11)
齋藤 寛 Hiroshi Saito (percussion on 01, 03, 04, 10)
2019年1月23日,24日栃木県那須郡那須町のスタジオ雷庵(らいあん)=Studio Lion録音
レーベル:
nayunayu-ukiuki music (本人の自主製作)
在庫切れ
可能な限りお取り寄せいたします
国内自主製作・デジパック仕様CD