★ヨーロッパ・ジャズ・シーンを代表するハード・バップ・トランペットの紛いなき第一人者:デュシュコ・ゴイコヴィチ(ダスコ・ゴイコヴィッチ)(1931年旧ユーゴスラヴィアのヤイツェ;Jajce、=現ボスニアのヘルツェゴヴィナ生まれ)の、本盤は、名門楽団:NDRビッグ・バンドと組んで(feat.フリッツ・パウアー-p)、母国ユーゴスラヴィアの様々な情景を活写した自作(多分)曲群をイキイキと奏した、
1973年&1974年(旧西)ドイツのハノーヴァーで録られた2つの未発表スタジオ・セッションでの音源をまとめた、価値ある充実の発掘アルバム。
★厚みのあるカラフルでゴージャスな重層的・多層的そして奥行きにも富んだホーン・アンサンブルが力強く躍動する中で、フロントに颯爽と立つトランペットが、シャープでいてきめ細やかな何とも味のあるトーンで、ある時は東欧的・バルカン的エキゾティズムに溢れ、またある時はハード・バピッシュな硬派ジャズらしい旨口のグルーヴ感をみなぎらせつつ、一貫して独特の哀愁歌謡色を色濃く滲ませたエモーショナル&スピリチュアルかつダイナミックな精悍ブロウを朗々と轟かせて、実に凛々しく渋い引き締まった華を成し、バックの色彩鮮やかで深遠なビッグ・バンド・サウンドとも上手く連動して、極めてドラマティックでスケール壮大な、瑞々しい興奮も途切れない感動的音世界をガッチリ描き出した敢闘内容。
★エスニック・フォーキーな固有の熱情味や神秘性(或いは吟遊牧歌性)が全体を通じて鳴音の隅々に渡りジワジワと迫り来るが、それと並行してしっかりモダン・バピッシュな現代の正攻法ジャズ〜正統派ビッグ・バンドならではのテイスティー・グルーヴィーさ、ノリのよさ加えてスリルも確固と顕示され、そうした両要素がごく自然に融和した、抒情味&ダイナミズム並びに生々しい昂揚感抜群の何げに高密度な道程が形作られなががら、一座の花形:ゴイコヴィチ(tp,flh)の気合満点・迫真味満点のソロ活躍が、誠に雄渾に映え、冴え渡って全く見事。
→自身のルーツとも云えるバルカン由来っぽい独自のエキゾティックな哀歌的メロディー・センスやスピリチュアリティを存分にフル発揮した、マイナー調の深みと強靱さあるリリカル節や、結構ダウン・トゥ・アースに粋でシブい吟醸味を体現するコク旨なブルース・プレイ、一転してごくストレートアヘッドなハード・バッパーになりきった真っ向勝負の驀進スウィンギン・アクションなど、程好く振り幅を示しながら終始楽しそうに活き活きと舞い躍りまくる、気力も充実しきったその勇姿は文句なしに超アザやか。
1. バルカン・ダンス
2. ボスナ・コーリング
3. ヘイズ・オン・ザ・ダヌベ
4. スマディア
5. マケドニア
6. イースト・オブ・モンテネグロ
7. パノニア
8. フィナーレ
Dusko Goykovich ダスコ・ゴイコヴィッチ (trumpet, flugelhorn)
NDR Big Band NDRビッグ・バンド(オーケストラ)
featuring
#1〜#6:
Fritz Pauer フリッツ・パウアー (piano, electric piano)
Peter Trunk ピーター・トランク (bass)
Tony Inzalaco トニー・インザラコ (drums)
#7,#8:
Fritz Pauer フリッツ・パウアー (piano)
Bo Stief ボ・スティーフ (bass)
Ronnie Stephenson ロニー・ステファンソン (drums)
1973年,1974年(旧西)ドイツのハノーヴァー録音
レーベル:
Solid (Enja原盤)
在庫有り
国内盤CD