★クラシックからジャズに転向し、自己レーベル:Blue HouseやM&I、フォーキャストミュージック等から過去20余年来、着々とアルバムを発表しつつ、ピアノ・トリオを主力グループとしてライヴ活動も精力的に続けてきた、女性和ジャズ・ピアノの確かな実力者:藤田ゆかり(東京都府中市生まれ、静岡県掛川市在住)の、
久しぶりのアルバムとなる本盤は、ベース&ドラムとのトリオを軸に、一部ギター(岡田アツシ)も加わりつつの快編。
★歯切れよく骨太でシャープ、そしてまた、透明感や独特のヒンヤリした冷涼な潤いをも湛える、澄みきったクリスタルっぽい硬質タッチのピアノが、角張った力強いダイナミズム〜鋭く炸裂するような躍動を顕す、ハードでソリッドなバップ(もしくはモード)・イディオム・タイプの陰影濃く苦味or渋味あるアクション文体を根幹に据えつつ、よりダイレクト・エモーショナルな哀愁歌謡的節回しや、ブロック・コードを活かした粋なファンキー・フレージング、などの
メロディック&リリカルな要素も絶妙の塩梅で盛り込んで、メリハリの利いたドラマティックかつ生鮮な昂揚感抜群の音景色を堂々現出させ、一方、結構猛々しく豪快に(或いはちょっと騒々しく賑やかに?)迫るドラム&ベース、並びに、アコースティックとエレキを的確に使い分けて上手くアクセントをつけるギター、らの助演もしっかり美味しく際立った、全体を通じ律儀な伝統様式っぽさとナチュラル&ポップな今日性とがバランスよく共存した世界を、フレッシュ・エキサイティングに楽しませてくれる会心打内容。
★キリッと凛々しくストレートアヘッドな硬派筋のグルーヴ、激動感やスリルと、親しみやすい明朗旨口な歌心表現、をごく自然に掛け合わせた、リズム・スタイルは適宜ヴァラエティーに富む基本は正攻法の現代版ハード・バピッシュ熱演、が実にイキイキと迫真力をもって展開され、藤田(p)の、揺るぎなく腰が据わっていながらしかしリキんだところのない、ひたすら伸びやかに快調な邁進コースを愉しむかのような、余裕すら感じさせる泰然げなその闊歩ぶりが全くゴキゲンだ。
→バップ・ピアノのオーソドキシーに確固と則ったハードボイルド調のシブ凛々しい殺陣ワザや、巧まずして作為なき現代感覚=今日流の歌謡性が反映されたリズミカル&キャッチーな行き方、マイナー調の憂き耽美的浪漫描写とモーダル・アグレッシヴな熱情傾向の流麗なる融和、更には、軽妙瀟洒でちょっとオールド・ファッションな粋筋っぽい寛ぎ小唄調など、さりげなく幅があってしかもどのアプローチにも無理のない自然体の安らかさ・平明さを呈した、滑脱にしてポジティヴな晴れ晴れとした語り口は、余情も豊かで好感度満点。ワイルドなエレキギター(岡田)が妖しく暗躍するファンク路線#8も新味。
1. ア・フォギー・デイ (George Gershwin)
2. アイ・フィール・ユー (Yukari Fujita)
3. アルハンブラの思い出 (Terrega Francisco)
4. パヴァーヌ Op.50 (Faure Gabriel Urbain)
5. 黒いオルフェ (Bonfa Luiz) (piano & ac-guitar duo)
6. ドリーミン (Miller Willam Marcus Jr)
7. ドント・ゲット・アラウンド・マッチ・エニィモア (Duke Ellington)
8. フラッピング (Atsushi Okada)
9. リベルタンゴ (Piazzola Astor Pantaleon)
藤田 ゆかり Yukari Fujita (piano)
Brent Nussey ブレント・ナッシー (bass except 5)
Dennis Frehse デニス・フレーゼ (drums except 5)
岡田 アツシ Atsushi Okada (acoustic guitar on 5, 9) (electric guitar on 6, 8)
2019年6月11日,12日Blue House Studio(静岡県掛川市)録音
レーベル:
Blue House
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国内自主製作CD
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