★過去様々なフォーマットで頻繁に共演を重ねてきた、アメリカン・ブラック・フリーの重鎮、=黒い情念渦巻くテナーサックス(マルチ管楽器)の突出個性派名手:ジョー・マクフィー(1939年フロリダ州マイアミ生まれ)と、世界各国を大忙しで飛び回る百戦練磨のオールラウンド・ドラマー:ポール・ニルセン=ラヴ(1974年ノルウェー-ムーレ・オ・ロムスダール県のモルデ生まれ)、の新旧フリー派・名コンビによる、今回は差し向かいでガッチリ組み合ったロンドンでの燃えに燃えるデュオ・ライヴ編。
★引き締まった隆々さや骨太肉厚さと、繊細に震え揺らめくようなヴァイブレーション(巧まざるヴィブラート感?)、を自然に共存させた何とも味のあるトーンのテナーが、ある時はゆったりと穏やかかつ厳かに朗々と直球で哀歓を歌い上げ、ある時は徹底してフリーキーに音色をヒズませながら七転八倒っぽく暴れ回るような、超過激なヴァイオレント絶叫的大咆哮を屈強に轟かせまくって、実に頼もしくも情魂味こってりの雄渾なる華を成し、かたや、音響を次々と極彩色の如く変転させつつ四方八方から縦横無尽にゲリラ・アタックをカマしてくるが如き、敏速自在でカラフルなドラムの奇襲ぶりも、アブストラクトであり同時にしっかりエモーショナルでもある熱い魅力を放った、全編異形で怪しいがしかし理屈を越えた力強い感動と圧倒的興奮を満喫させてくれる壮快内容。
★スピリチュアル系フリー・ジャズの気風を変らず根底に堅持しながら、それでいて極めて純度の高い半実験的インプロヴァイズド・ミュージック風の苛烈奔放さやただならぬ迫真力をも有した、聴く者を問答無用にグイグイ引き込んでゆく大層スリリング&アクシデンタルなこの上なく生々しい即興激突!、が堂々展開され、両雄の、練達であり、清新なイマジネーションにも満ち満ちた変幻かつバッチリ旨口な奮戦が冴え渡って、誠に爽やかなまでに昂揚させてくれる。
★マクフィー(ts)の、スタイルを刻々と推移させて予断は許さないものの、とりわけ、ブラックなゴスペル・フィーリングをも仄めかしつつの中々しんみりと落ち着いた、安らいだバラードっぽいアプローチや、一転して獰猛な野獣性を全開爆裂させた熱血パワー・ミュージック・タイプの雄叫びフリーキー攻勢、といった辺りのストレート・スピリチュアルな猛進の様が傑出して芳醇なるさすが醸熟の妙味をフル発揮しており、一方ニルセン=ラヴ(ds)の、超絶ハイテクニックにしてスピリチュアリティ(や一部独特のエキゾティズム?)溢れる全方位的遊撃ワザも快調だ。ノイズ対決(ポケット・トランペットとパーカッション)風の#3も新味。
1. Song For The Big Chief (Old Man River) (Hammerstein-Kern) 23:07
2. Knox (Joe McPhee) 13:43
3. A Fantasy For Lester (Joe McPhee, Paal Nilssen-Love) 7:51
Joe McPhee (tenor saxophone, pocket trumpet)
Paal Nilssen-Love (drums, percussion)
2017年12月9日英国ロンドンのCafe Otoでのライヴ録音
レーベル:
PNL
在庫有り
見開き紙ジャケット仕様CD