★早稲田大学在学中よりプロとして活動を始め、松本英彦4、高橋知己5、吉沢良治郎4、植松孝夫4などでレギュラーを務める傍ら、自己のトリオやカルテットを率いても旺盛に活躍、1977年渡米、ニューヨークでの様々なミュージシャンとのセッションで更に腕を磨き、初リーダー作(ボブ・バーグら共演 テイチク)もレコーディング、帰国後ドナルド・ベイリー(ds)・トリオに暫く在籍し、またハロルド・ランド(ts)と共演したセカンド・アルバムをアケタズ・ディスクからリリース、その後も、エルヴィン・ジョーンズやスティーヴ・グロスマンらと親交を深めつつ、後進の育成にも尽力し、本邦ジャズ・シーン最前線で長らく多忙に、精力的に快進撃を続けてきたモダン・ピアノの名手:寺下誠(1951年北海道函館市生まれ)。
★本盤は、主に米西海岸で活躍したアメリカン・ハード・バップ・テナーの雄:ハロルド・ランド(1928年テキサス州ヒューストン生まれ、2001年カリフォルニア州ロサンジェルスで死去)を迎えたコンボによる、寺下の自己名義アルバム第2作となった1983年6月録音の会心盤(アケタズ・ディスク原盤)、の初CD化。
★歯切れよくシャープで硬質堅牢な、カキコキと角張っていつつ透明感や潤いも備わった、小石を転がすようなクリアー・タッチのピアノが、スピリチュアル&ブルージーな鋭利にえぐり込んでくるが如き、独特の情念や熱気(またある時は牧歌性)を孕んだ敏活プレイを繰り出して中々凛々しくソリッドに絵を飾り、かたや、肉太くも弾性があってビシッと骨芯の通ったコク旨トーンのテナーも、これまた情魂味たっぷりでありながら、そうした力強さ・勇猛さと同時に一定の落ち着きや余裕を有した含蓄あるモーダル・ブロウ、を極めて流麗に轟かせて、悠然と懐深げに華を成した、全体を通じフレッシュなスリルや硬派なグルーヴと十全に吟醸された風な豊かなウマみが満喫できる充実内容。
★徹頭徹尾ストレートアヘッドなモード系ハード・バップの王道ド真ん中を迷いなく突き進む、全き正攻法の活劇アクション風(或いは雄渾スピリチュアル・ロマン風)熱演が実にイキイキと展開され、ベースやドラム、パーカッションらの、きっちりツボを心得ていながら、そこかしこで「サポート」「助演」の枠を好もしくはみ出した鮮烈濃厚なる全力パンチ・キック!!!を爆発させたりもするアタッキングな活躍、にビシバシ刺激されつつ、ダブル主役のランド(ts)と寺下(p)が気迫のこもった悔いなき敢闘ぶりでスリリング&ダイナミックに見せ場を競り合って、スカッと壮快に、そして高密度に昂揚させてくれる。
★ランド(ts)の、意外に(?)パッショネートでアグレッシヴなモード色濃くタフネスみなぎったハードボイルド調の躍動的アプローチを根幹に据えて、大いに生鮮清新な興奮を味わわせるが、その吹鳴には並行して優しい包容力やリキみの抜けた自然体の滑脱さ、ジェントルなゆとりっぽさが絶えることもない、という、さすが何げに熟成された泰然自若の語り口が卓抜。一方寺下(p)の、瑞々しい熱情と哀愁のほとばしった、エネルギッシュであり端正でもある、巧まず作法に適った立ち居振る舞いも、誠に鮮麗で秀逸。
1. Dragon Dance
2. World Peace
3. Dear Friends (piano trio)
4. Takeuma
5. I・Ha・To・Bo
6. Crossing
Harold Land ハロルド・ランド (tenor saxophone except 3)
寺下 誠 (piano)
米木 康志 (bass)
マイク・レズニコフ (drums)
小泉 高之 (percussion except 3, 5)
1983年6月11日 青山スタジオ録音
レーベル:
Octave-Lab (Deep Jazz Reality) (アケタズ・ディスク原盤)
*限定生産、2019年最新デジタル・リマスタリング、新規解説付き!
在庫有り
国内制作・限定生産CD