★当初はアルトサックスを吹き、渡辺貞夫に師事、20歳頃からライヴ活動を本格化させ、テナーに転向後はビッグ・バンドでもプレイ、古澤良治郎5、植松孝夫5、水橋孝4などを経て、1975年頃自己のカルテットを結成、森山威男4でも辣腕を揮うが、1980年に31歳の若さで夭逝した、独自の凄味ある鋭角なトーンやエッジの利いた節回しにワン&オンリーの魅力を見せるテナー&ソプラノサックスの独創的逸材、
小田切一巳(1948年福島県福島市生まれ、1980年死去)の、ベース&ドラムとのトリオによる、これが最初で最後のリーダー・アルバムとなった、1976年8月録音(於アケタの店)の傑作盤(アケタズ・ディスク原盤)の初CD化。
★骨太くも引き締まった硬質感あるトーンのテナーが、ハード・ドライヴ感とブルース・テイスト溢れる中々コク旨な滑脱スインギー節を朗々と歌い、かと思えば、より奔放苛烈に、スピリチュアル&アグレッシヴな鬼気迫るが如き突撃疾走型の大アクション咆哮を凄絶に炸裂させ、更には、鋭く尖った音色のソプラノによる、屈強かつ執拗にさえずり叫ぶかのような熱血ブロウを繰り出したりもして、起伏に富んだ波瀾万丈の道筋を力強く描き出した、圧倒的な昂揚と清々しい感動が存分に味わえる壮快この上なしの敢闘内容。
★ロリンズ辺りに通じるサックス・トリオ物の王道を行くテイスティー・グルーヴィー&ブルージー・メロディアスな傾向と、コルトレーンに接近した荒々しく激烈な大立ち回りでたたみかけるワイルド・ヴァイオレントなアツい攻撃的指向、の間を自在に往来しつつの、メリハリもバッチリ利いたドラマティックでスリリングなおかつ超芳醇な情魂味こってり、迫真力満点の生々しい完全燃焼の悔いなき(妥協なき)熱演が続き、結構雄弁によく歌うデリシャス・スウィンギンな山崎(b)や、ドシャバシャとけたたましく攻め込んでくる野性味一杯の亀山(ds)、らの気合の入りまくったゲリラ・アタック!風のハードなサポートに頼もしく煽られ、突き上げられながら、小田切(ts,ss)の、真っ向勝負で潔く燃え尽きんとするような極めてエモーショナルなインプロ奮戦が、勇猛剛健にしてスカッと胸のすく旨口映えを見せて、実に爽やかだ。
→わりかし粋で渋い伝統志向の吟醸的メロディスト気質な側面と、野獣性やアナーキーさに寄った激昂型の煮えたぎり疾駆っぽい切迫した体当たりアクション、とを巧まず的確に使い分けた、作劇力充分なそのストーリーテリングは何げに卓抜。
1. ストライプ・スラックス
2. インビテーション (solo tenor saxophone)
3. イントラピット・フォックス (Take 1)
4. イントラピット・フォックス (Take 2)
5. フェン・サニー・ゲッツ・ブルー
小田切 一巳 (tenor saxophone, soprano saxophone)
山崎 弘一 (bass except 2)
亀山 賢一 (drums except 2)
1976年8月1日-15日アケタの店での録音
レーベル:
Octave-Lab (Deep Jazz Reality) (アケタズ・ディスク原盤)
*限定生産、2019年最新デジタル・リマスタリング、新規解説付き!
在庫有り
国内制作・限定生産CD