★円熟にしてしっかりアツい快進撃を続けるお馴染みメインストリーム・モダン・ピアノのヴェテラン名匠:ジョージ・ケイブルズ(1944年ニューヨークシティ生まれ)の、長らく活動を共にしているエシェット・エシェット(b)&ヴィクター・ルイス(ds)との鉄壁トリオを率いての、ちょっと久しぶりとなる益々深化した最新リーダー・アルバム。
★低音部のドッシリ重厚な骨太さ・芯の据わり様と、中〜高音部のきらびやかさ・軽やかさ・流麗さ+歯切れよさ、とが好対照を成した、何とも表情豊かで味わいあるタッチのピアノが、決してリキまず自然体で伸び伸びと遊泳闊歩を楽しむかのような、作為なげでありながら巧まず鮮やかにメリハリも利いた、バップ&ブルース・フィーリングと歌心溢れる全き正攻法の渋〜い吟醸的プレイを軽妙滑脱に紡いで、陰影深くもウマみ濃い悠々たる華を成し、ベース&ドラムの安定律動性と自在な瞬発力・機動性を兼ね備えるばっちりツボを心得たサポートも、ノリやスリルを的確に高めてナイス・インパクトな、全編を通じ小気味よくもスモーキーな独特の焦げ味っぽい余情がじんわり漂うさすがの熟達内容。
★硬派で勇壮な苦味走った凛たるハードボイルドさやダークネスを基底に敷きながら、小粋で親しみやすい歌謡色も絶妙の塩梅でまぶし込まれる、全体としては適度に甘さの抑えられた締まりある、そしてちょっと不透明にくすんだような風合いの、翳りある精悍なハード・バップ快演がイキイキと、かつやや謹厳げに展開され、ケイブルズ(p)の、肩の力の抜けたラフ&カジュアルな(=幾分か荒削りめの)フリーハンド・スケッチっぽさと、伝統的な型をキッチリ重んじる風なストイック&スクエアーさ、を破綻なくナチュラルに両立させた、結構淡麗で飄々としていつつさりげなくドラマティックでもある、しっかり練磨された語り口が朝飯前に冴え渡って見事。
→モード色を加味したダイナミック&ちょいアグレッシヴな驀進アクション技や、殺陣っぽい立ち回りの様式美をシンプルに探究するが如き角張ったシブめの力学的フレージング、一転して優しくロマンティックに哀愁的情景をじっくり描き出す繊細端正なバラードなど、ごく自然に、流麗に次々と筆致を変化させてゆきながら、トータルとしては、どこかしら燻され、くぐもった風な暗影とサビの利いたワン&オンリーの奥深い音景色(墨絵の趣か?)に軽々仕上げて見せる、その達観した匠の至芸は絶品だ。
01. Young At Heart 6:27
02. I'm All Smiles 6:15
03. Speak No Evil 5:47
04. Bésame Mucho 7:50
05. Ugly Beauty 5:59
06. Love Is A Many Splendored Thing 7:19
07. Celebration 5:42
08. Three Views Of A Secret 4:16
09. Thermo 5:09
10. Monk's Mood 3:41 (solo piano)
George Cables (piano)
Essiet Essiet (bass except 10)
Victor Lewis (drums except 10)
2018年10月26日ニューヨークシティのSear Sound録音
レーベル:
HighNote
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CD