★母国:オーストラリアのパースの音楽院でジャズの学士課程を修了、その後米バークリー音大へ進学、2015年に同大を卒業後は国際的に旺盛な活躍を続け、過去ABC JazzやImpulseから発表した作品群がいずれも好評を博していた、近年はパリに本拠を置いているというピアノ弾き語りのヴォーカル才媛:サラ・マッケンジー(オーストラリア-メルボルン北西部のベンディゴ生まれ)の、今盤は、ニューヨークシティで吹き込まれた変動的小コンボ体制による程好く変化に富んだ快編。ジャケット・デザインは日本独自版。
★そよ風のように涼やかで透明感ある、きめの細かいトーン高めの端麗ヴォイスによる、基本はあくまで歌詞とメロディーを大切にした清楚可憐げでマイルド・テンダーな、それでいて同時にさりげなく練磨された風なアジな瀟洒さや軽み、そしてまたブルース由来のイキで渋い吟醸的テイスト、なども巧まず自然に垣間見せ、時にはライト&ソフトな脱力感を伴いつつの波乗り調子のスキャットorハミング技を盛り込んだりもして、爽やかにアクセントをつける、トータルとしては優しく親しみやすい柔和さ・ハートフルさを失うことのないリリカル指向の演唱が、瑞々しくも旨味充分の誠にチャーミングな華を成し、硬質感あるファンキー・バピッシュなピアノや、そっと繊細にニュアンスをこめて寄り添う面あり、熱っぽくイナセにアーシー節を炸裂させる面もあり、のメリハリの利いたギター、コク味こってりでソウルフルなテナーなど、インスト・サイドの中々ドラマティックで的確にツボにハマッた妙演の数々も、一貫して超おいしく魅力を際立たせた、小気味よくも思わずホッと温かに、深い安心感に包まれる快適内容。
★和気あいあいのインティメイトな寛ぎと、闊達で歯切れのいい跳躍闊歩風のスイング感やダイナミズム、を好バランスで兼備した、抵抗なくスイスイ進む実に心地よい道程が続き、マッケンジーの、フレッシュ&キュートな真摯さ・誠実さと適度にこなれた旨口センスや小粋さ、とをごくナチュラルに共存させ融和させたどこまでも軽やかで流麗な歌い回しが、スッキリとクール・クリーンかつ洒脱に冴え渡ってゴキゲンだ。
★清らかでガーリッシュな気品と節度ある、そして濃やかに機微を掬い取ってゆくようなプリティ・ロマンティック節、が云うことなく絶好調だが、並行して随所に、研ぎ澄まされたブルース・センスを遺憾なく(朝飯前に)発揮した結構パンチのあるシブめのフレージングも適宜挿入されて、上手い塩梅で緩急抑揚の利いた劇的流れを終始涼しげに、スムースに創出して見せるそのストーリーテリングは全く卓抜。
01.
You Only Live Twice (John Barry, Leslie Bricusse)
02.
You And The Music (Sarah McKenzie)
03.
De Nada (Sarah McKenzie)
04.
Secrets Of My Heart (Sarah McKenzie, arr. Pierre Boussaguet)
05.
It's All About Love (Sarah McKenzie)
06.
Till The End Of Time (Sarah McKenzie)
07.
You Must Believe In Spring (Michel Legrand, Alan + Marilyn Bergman) (solo vocal & piano)
08.
A Beautiful Friendship (Stanley Styne, Donald Kahn)
09.
I Fell In Love With You (Sarah McKenzie)
10.
Come On Home (Juanita Hall, Dinah Washington)
11.
My True Love Is You (Sarah McKenzie) (vocal & guitar duo)
12.
The Gershwin Medley (George Gershwin) :
Rhapsody In Blue, Summertime, The Man I Love, I Got Rhythm (instrumental)
Sarah McKenzie (vocal except 12) (piano except 11)
Dan Wilson (guitar)
Pierre Boussaguet (bass except 07, 11)
Donald Edwards (drums except 07, 11)
Troy Roberts (tenor saxophone on 05, 06)
Jody Redhage-Ferber (cello on 01, 04, 06)
Warren Wolf (vibraphone on 01)
Rogerio Boccato (percussion on 03, 06)
James Mack (percussion on 04)
Unknown (flute on 03)
2019年作品(NYC録音)
レーベル:
寺島レコード (Normandy Lane Music原盤)
在庫有り
国内制作・セミW紙ジャケット仕様CD