★Frank Hewittに師事し、クラブ:Smallsへの常連出演ほか、NYシーンで精力的に活躍、Posi-ToneやArborsからのリーダー・アルバムで人気を博し、またハリー・アレンやグラント・スチュワートのサイド等でも遺憾なく辣腕を揮って高い評価を得てきた、イスラエル出身の正統派ピアニスト:エイフッド・アシュリー(1979年イスラエル生まれ、イタリアで6年暮らし、その後家族で米NYへ移住)の、今回は、ピーター・ワシントン(b)&ロドニー・グリーン(ds)との強力トリオによる、上手い具合に肩の力の抜けた楽しい一編。
★歯切れよさと滑りのよさを兼ね備えつつ、一音一音がクッキリと鮮明な煌きを放つような、それでいて濃く渋い陰影をも帯びた、何とも味のある小石風の硬質タッチのピアノが、ダウン・トゥ・アースな結構黒いブルース・テイスト、親しみやすい明朗な歌心、ニガ味も適度に利いた硬派なバップ・スピリット、そして安定律動的にしっかりノるスイング感、に揺るぎなく貫かれた、なおかつ一定の節度や抑制力、微妙な淡泊さ、も加味しての腹八分目っぽいサバけたメロディック・グルーヴィー・プレイを軽やかに、飄々と紡いで一種の雅趣っぽい行間余情に富んだ風流な絵を飾り、ベース&ドラムのばっちりツボを心得ながらさりげなく雄弁に歌いもする堅実でハートフルなサポート、も優しく温かに妙味を揮った、全編を通じて無類に心地よく思わずほっこりさせられる充実内容。
★徹頭徹尾メロディアス&スインギー&ハートウォーミングな、取っ付きやすくもインティメイトで寛ぎに満ちた「人情娯楽派職人芸大会」とも云うべき、明快晴朗にしてさりげなく奥が深かったり侘び寂めいた燻し銀的趣が漂っていたりもする、誠にアジなリリカル快演が中々端正に展開され、闊達で旨口な歌謡性溢れるワシントン(b)や、シャキッと鋭くソリッドに全体を引き締めるグリーン(ds)、らのブレなくも機転の利いた的確なバックアップに頼もしげに支えられて、アシュリー(p)の、わりかしオールド・ファッションで無駄なく簡潔な、風合いはごくスッキリさっぱりとした誠実そう、そしてちょっと無欲そうでもあるアドリブ妙技が、巧まず熟成した懐の広い魅力を悠々放ってゴキゲンだ。
★→アーシーでソウルフルな漆黒のコクを立ち昇らせつつじっくり深く地の底へ降りてゆくようなシブ〜いブルース節や、伝統的なバップ・イディオムに則ったハードでちょっとストイックな殺陣ワザなど、あくまでオーソドックスな正攻法アプローチを貫き、アウトライン・イメージとしては結構サラリとした程好く薄味な傾向に仕上げ、それでいて後にはしっかり芳醇な余韻が残るという、その作為なげにして含蓄・幽玄に富んだ独自の語り口は、実に味わい豊かで絶品。
1. Wild Man Blues
2. Parker's Mood
3. Flying Down To Rio
4. Autumn Nocturne
5. Chasin' The Bird
6. Na Biaxa Do Sapateiro
7. Oh, Lady Be Good
8. And Then She Stopped
Ehud Asherie (piano)
Peter Washington (bass)
Rodney Green (drums)
2019年作品
レーベル:
Capri
在庫有り
デジパック仕様CD