★急進派・独創派・闘争派で鳴らした日本のインプロヴァイズド・ギターの第一人者:高柳昌行(1932年旧東京府の芝生まれ、1991年死去)の、これは、その芸風・作風・活動指針をオーソドックスなジャズからフリー・インプロヴィゼーションへと移行する直前の時期にあたる、1969年2月、東京の何処かで録られていた、ヴィブラフォン入りのレギュラー・カルテット:高柳ジャズ・コンテンポラリー4(1968年結成)による未発表ライヴ音源(ステレオ録音で音質もよい)、を初ディスク化した、即ち最後期のモダン・ジャズ演奏が聴ける価値ある発掘アルバム。
★キレ&潤いを兼備し、適度な厚みを呈した張りのあるトーンのギターが、ブルージー・バピッシュさとよりダークで怪しい風趣とを掛け合わせた、硬質でサスペンスフルな憂きプレイをある時は凛然と、ある時はクール・メロウに紡いで、中々スモーキー&スパイシーなる華を成し、打楽器色濃くソリッドにアタックするヴィブラフォンや、重厚なドライヴ感とブルース的メロディー・センスに溢れた饒舌ベース、らの活躍もそれぞれ味わい豊かに彩りを添えた、全体としては結構ピリッとしたビターめテイストの精悍軒昂たる熱演内容。
★ハード・バップと云うよりもモード系のニュー・ジャズに近い趣の、しかしあくまで4ビートでしっかりと律動スイングする、一本太い骨芯の通ったスリリングでハードボイルドな硬派筋の敢闘が、シャキシャキ・キビキビ・ビシバシと鋭敏に展開され、高柳(g)の、アブストラクトとまでは行かぬも、甘さを排してシリアスで厳しい表情にほぼ徹した、凹凸やフェイント性にも富むダイナミックな遊撃的アクション攻勢が、圧倒的迫真力をもってシャープに、そしてブレなく確固と冴え渡り、全く快調だ。
→バップ・イディオムに基づいた鋭角的な殺陣風の立ち回りフレージングや、そこから更に(立体)図形性・記号性を際立たせたより強硬ハードな冷厳節、一転してアーシー&ソウルフルだったりテンダー・ムーディーだったりの寛ぎ技など、何げに振り幅大きく変幻自在・流麗滑脱なその揺るぎない、トータルとしてはややニガめ・辛めの引き締まった語り口が終始剛毅に本領を発揮しており、一方、三戸部(vib)の、ボビー・ハッチャーソン寄りのモーダル新主流派風だったり、時にはミルト・ジャクソン似のマイルド・ブルージー傾向だったりもする、という、巧まざる劇的奮戦も上手いコントラストを成しつつ魅力充分に光っている。
1. Not Blues 12:56
2. ESP 8:48
3. Autumn Leaves 11:55
4. You Don't Know What Love Is 8:29
5. Careful 13:59
高柳 昌行 (guitar)
三戸部 章 (vibraphone)
萩原 栄治郎 (bass)
岸田 恵士 (drums)
1969年2月東京でのライヴ録音
レーベル:
Jinya Disc
在庫有り
国内制作CD