★NYシーンで長らく活動、かつてはバディ・リッチ・ビッグ・バンド(1978〜1983年に在籍)やジェリー・マリガン、メル・ルイスらのサイドで名を上げ、またDouble-TimeやCriss Cross、当SteepleChaseよりの気合の入ったリーダー諸作にも好評を集めてきた、正統派のベテラン・アルトサックス奏者:アンディ・ファスコ(ニュージャージー出身)の、今回は、長いキャリアの中でもレコーディングの上ではこういう趣向は初めてになるという、ギター(ジョン・ハート)とのコンビネーション&バトルを核としたカルテット演奏集。
★キュッと絞りの利いた隆々さと、軽やか&涼やかな脱力的波乗り感覚、とを併せ持った、何とも味のあるトーンのアルトが、ある時はホット&モーダルに、ある時はスマート・バピッシュに、またある時はマイルド・テンダーに小唄感覚全開で、滑脱自在かつ粋でイナセな旨口ブローイングを朗々と紡いで清々しい華を成し、シブめのバップ・イディオム技とメロウな耽美的フレージングを上手く交差させるギターの活躍も、実に生鮮なる彩りを添えた、ノリよくも中々奥深い吟醸的テイストが満喫できる好演内容。
★勇壮で硬派、それでいて親しみやすい歌心もバッチリ備わった、全き正攻法の人情娯楽的ハード・バップ快演が溌剌と展開され、ベース&ドラムのブレなく堅固なサポートにガッチリ支えられ、ノセられながら、ファスコ(as)やハート(g)の、ひたすら伸び伸びとおおらかに唄い、敏活に躍動する、極めてストレートアヘッドな真っ向勝負のアドリブ敢闘が潔げに盛り上がりを呈して、スカッと爽やかに昂揚させてくれる。ファスコ(as)の、バップやモードの定番語法に則ったダイナミックで雄々しい立ち回りフレージングを基調としつつ、微妙に千鳥足っぽくヨタりよろけるようなルーズ&デカダンなけだるめの小節や、柔和でロマンティックな歌謡性一杯の寛ぎフレーズ、を混ぜ込んでくるところがまた得難い「味」だったりもするその、さすが熟成されたごく自然体のリキみなき語り口が超芳醇に冴え渡っており、一方ハート(g)の、クリスチャン系の伝統的な殺陣風単音アクションを根幹として凛々しいキメ絵を飾る反面、コードワークを活かしたクール&アンニュイな仄暗い憂愁描写の濃やかさ・ニュアンス豊かさも絶品の、何げにメリハリあるドラマティックな立ち働きも好調だ。
1.
Minor League
2. Polkadots And Moonbeams
3. Look For The Silver Lining
4. Rhapsodia
5. Hackensack
6. Turmoil
7. The Gypsy
8. Bella's Burn
Andy Fusco (alto saxophone)
John Hart (guitar)
Bill Moring (bass)
Rudy Petschauer (drums)
2016年12月録音
レーベル:
SteepleChase
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CD