★レニー・トリスターノに師事し、バークリー音大に学んで、スタン・ゲッツやチェット・ベイカーとの共演、デイヴ・リーブマンとのコラボ、等で人気を博してきた、学術理論に長じる探究肌な現代ジャズ・ピアノの重鎮:リッチー・バイラーク(1947年ニューヨークシティのブルックリン区生まれ)の、本盤は、ランディ・ブレッカー、マイケル・ブレッカー、ジョン・スコフィールド、ジョージ・ムラーツ、アダム・ナスボーム、という敏腕連と組んだ変動的コンボによる、1989年4月NYで吹き込まれた一作「Some Other Time - A Tribute To Chet Baker」(Triloka原盤)に、同じ顔ぶれによる未発表のライヴ音源を加えて2枚組とした強力再発版。
★苦味走った厳しい表情でシャープ&ソリッドに圧倒的ダイナミズムを体現するピアノの大立ち回り攻勢や、バップ色も豊富にひたすら朗々とよく歌うトランペット、まろやかでおおらかそれでいて繊細さとロマンティシズムに満ちた端麗な哀愁節を綴るテナー、濁りを利かせてダーク&ゲリラティックに暗躍するギター、らが極めて濃厚でスリリングな見せ場を形成してゆく、それぞれに迷いなく腰の据わった完全燃焼ぶり&花形役者ぶりで、大いに昂揚させる敢闘内容。
★メロディアスだが決して甘すぎず、硬派でハードボイルドな精悍凛然さをキッチリ堅持した80年代らしいキレのあるモーダル・バップ熱演が展開され、少々荒っぽくもシンプル・ストレートな抜群の疾走感をもって鋭敏に驀進するノリノリのライヴ編と、落ち着いた調子で何げに簡潔かつ高密度な構成力の粋を発揮する余情深きスタジオ編、とが按配よく好対照を成した、一貫してごく親しみやすくも中々濃度の高い充実した道程に仕上げられている。
★バイラーク(p)の、シリアスで毅然げな立体力学的アクション・プレイで烈々に興奮させてくれる一方、バラードでのしっとり優しい耽美派ロマンティストぶりがまた妙味深いその、終始背筋がキリッとしていて研ぎ澄まされた鳴音のあり様、が実に魅惑的で、一方、マイケル・ブレッカー(ts)の懐広くマイルド・テンダーな包容力と雄渾のスケールに満ちた誠に心地よい寛ぎブロウや、ランディ・ブレッカー(tp)のシャキシャキ・キビキビ・テキパキした歌心一杯の真性バッパー然たる立ち働き、といった辺りも超美味で好インパクト。
CD 1 - Live:
1. Paradox (R. Beirach) (7:06)
2. Alone Together (A. Schwartz) (6:17)
3. Inborn (R. Beirach) (9:35)
4. Con Alma (D. Gillespie) (9:22)
5. Sunday Song (R. Beirach) (7:10)
6. In Your Own Sweet Way (D. Brubeck) (8:33)
7. You Don't Know What Love Is (G. de Paul) (8:13)
8. Broken Wing (7:08)
CD 2 - Studio:
1. My Funny Valentine (Rogers / Hart) (3:50)
2. Leaving (R. Beirach) (6:05)
3. Inborn (R. Beirach) (9:26)
4. Some Other Time (L. Bernstein) (6:20)
5. Sunday Song (R. Beirach) (6:46)
6. Young & Foolish (Horwitt / Hague) (6:31)
7. Paradox (R. Beirach) (6:55)
※CD 2:1989年4月17&18日ニューヨークのクリントン・スタジオ録音
Randy Brecker (trumpet, flugelhorn on CD1-1,2,4,6,7,8,CD2-1,2,7)
Michael Brecker (tenor saxophone on CD1-3,5,CD2-3,5)
John Scofield (guitar on CD1-1,4,8,CD2-2,7)
Richie Beirach (piano)
George Mraz (bass except CD2-1)
Adam Nussbaum (drums except CD1-3,5,CD2-1,3,5)
レーベル:
Jazzline
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2枚組CD