★ロサンジェルスのエンシノを拠点に地元のクラブやラウンジで演奏・演唱活動を行い、1960年代後半から1970年にかけて2枚のアルバムを発表、先頃その2作品が国内盤(Muzak)CDとして復刻され、再発見・再評価の機運も高まっている、ピアノ弾き語りの女性歌手(ヴィブラフォン奏者でもある):ボビイ・ボイル(1931年マサチューセッツ州ボストン生まれ、2009年死去)の、本盤は、ピアノ・トリオをメインとした小編成での、1966年から1970年にかけて吹き込まれた未発表音源を集大成した、価値ある発掘アルバム。
★潤いや涼気を湛えた中高音のクリーンな美声による、自然体で優しく語りかけてくるような、誠心こもったリリカル歌唱が何とも爽やかに華を成し、硬質感&重みあるファンキー・バピッシュなピアノ弾奏も中々粋に、そして芳醇にシカと彩りを添えた、心地よくも歯応え十分の充実した好演内容。
★インティメイトな寛ぎに溢れた、軽妙瀟洒で肩の凝らないシャレたラウンジ・ショウ、っぽい雰囲気の趣味よき妙演が快テンポで紡がれてゆき、ボイルの透明感とデリカシーに富んだ柔和な歌声が、誠に清々しく瑞々しい感動をスッキリしっとりと齎してゴキゲンだ。
★→歌詞とメロディーをあくまで大切にして、テンダー&ロマンティックに洒脱な情景を活写し、時には張りを利かせてダイナミックに熱唱したり、吟醸味漂う渋いブルージー節を盛り込んだり、といった転回も見せてメリハリある半劇的流れを形作り、しかしトータルとしてはキュート&ナイーヴな清楚で優しいイメージを決して崩すことがない、という、実に濃やかな真心を感じさせるその歌声のあり様は、生鮮この上なしの魅力に満ちており、また、ピアノ・トリオを基本としたインスト面の、結構ハードで骨太い硬派バップ熱演、によって醸成される凛とした昂揚感も格別。
1.
トミーズ・イン・ラヴ
2.
メドレー:サムタイム・アイム・ハッピー
〜ライフ・イズ・ジャスト・ア・ボウル・オブ・チェリー
3.
チム・チム・チェリー(inst.)
4.
晴れた日に永遠が見える
5.
イッツ・ユー・オア・ノー・ワン
6.
フィーリン・グッド
7.
ザ・ファースト・オブ・メイ
8.
ザ・グリーン・リーヴス・オブ・サマー
9.
インタールード
10.
春の如く
11.
マイ・フェイヴァリッ卜・シングス(inst.)
12.
レイジー・アフタヌーン
13.
ヒアズ・ザット・レイニー・デイ
14.
ラック・ビー・ア・レイデイ
15.
ノー・ラヴ・ソング
16.
ライト・アズ・ザ・レイン
17.
クリケット
18.
いそしぎ
19.
サイクル(inst.)
Bobbi Boyle ボビイ・ボイル(vocal except 3,11,19) (piano except 15) (vibraphone on 3,11,19)
クリス・クラーク(bass)
ビル・プラマー(bass)
チャック・ピッチェロ(drums)
ロン・アンソニー(guitar)
ジミー・スチュワート(guitar)
チャック・スティーヴンス(guitar)
他
1966年〜1970年録音
レーベル:
Muzak
在庫有り
国内制作CD
★ボビイ・ボイル
ヴォーカル、ピアノ、ヴアイブ奏者。1931年ボストン生まれ。ミュージシャンだった両親と祖父母の音楽一家の元で育った。ジャズ・グループを率いたトランペッター、ジョニー・マコーミックと結婚。1960年代後半にロサンゼルスのエンシノに移住し主に地元のクラブやラウンジを拠点に活動。1968年にその地名を使った自主レーベルEncnoRecordsからデビュー・アルバム『ADaynTheLife』をリリース。続けて1970年にセカンド『BobbiBoyleSngs』を発表したが話題になることもなく、その後離婚を経てスタジオ・ミュージシャンや職業作家など裏方の仕事をしながら子育てに追われていった。1995年にビング・クロスビーの息子、ゲイリー・クロスビーと婚約するも式を挙げる直前に彼が病死するという不幸な結末となった。2000年に入ってかつてのパイド・パイパーズを彷彿とさせる4人組のコーラス・グループThe Sunnysidersに参加、アルバムを1枚残した。2008年アメリカのDJ、クリスチャン・フリッツにより『ADaynTheLife』が世界で初めてCD化され世界中の音楽ファンを驚かせた。本人も思いもよらぬ再発を大変喜んでいたが、それを見届け惜しくも翌年の2009年7月23日に帰らぬ人となった。