★ともにコペンハーゲンを拠点に活動し、過去10年来様々なフォーマットで共演を重ねてきた、個性派ピアニストの平林牧子(1966年東京生まれ)とベテラン・テナーサックス奏者のボブ・ロックウェル(1945年アメリカ合衆国オクラホマ州マイアミ生まれ)、という異国人同士のコンビによる、平林の書き下ろし新曲群をメイン・レパートリーとしたデュオ集。
★艶やかできめ濃やか、それでいて硬質的ダークネスをも湛えた、中々ニュアンスに富む鮮明なタッチのピアノが、独特の思索瞑想性仄めく心象スケッチ風のアンニュイなプレイを繰り出し、まろやかな旨味に満ちたトーンのテナーサックス或いはシャープでしなやかなトーンのソプラノサックスによる、ビタースウィートな中に渋くて粋な吟醸テイストがしっかり息づいた滑脱ブロウ、も芳醇に際立って、両者の、ツーカーにしてコントラスト感ある絡みが何とも奥深いリリシズム世界を描き出した、優しさとデリカシー溢れる端麗な好演内容。
★緩急メリハリも適宜なだらかにつけられながらの、ほぼ一貫して耽美性やエレガンスが自ずと保たれる、落ち着いた調子のロマネスクな抒情的行き方が続き、何げに簡潔でドラマティックな結構サバけた道程の中で、両人の、流麗でリキみなくも上手い按配に構成されたアドリブ妙技が、清々しくも幽玄漂う出色の冴えを、きらめき様を示してゆく。
★平林の、ストレート・スウィンギンなバピッシュ弾奏やマイルド・ロマンティックな耽美指向バラード表現を快調にキメる反面、ちょっと現代音楽っぽくもあるシリアスで内省感漂うピリッとしたソリッドめ・ノワールめのアプローチ、にこそ妖しいまでの深遠なる本領を発揮している感のあるその、巧まず研ぎ澄まされた表情多彩なストーリーテラーぶりが全く鮮やかで、一方ロックウェルの、より真っ向勝負で「バップ」や「ブルース」の旨味を溌剌と体現しきった、イナセでグルーヴィーな生粋メロディスト&スインガー気質の活躍も、これまたゴキゲンに奮っている!!!
1. ビニース・ザ・シー・ベッド
2. インヴィジブル
3. サーキュラー (1-3:福島組曲)
4. ピース・オブ・メイ
5. パドルス
6. シリアル・アタック
7. ダイ・ダイ
8. ゴング
9. スティル
10. ボビット
11. ピース
平林 牧子 Makiko Hirabayashi (piano)
ボブ・ロックウェル Bob Rockwell (tenor saxophone on 1,4,6,7,8,10,11) (soprano saxophone on 2,3)
2015年1月 コペンハーゲン録音
レーベル:
Muzak
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