CATFISH RECORDS

南フロリダ大学ジャズ科の主任教官であり、テナー奏者としても主にフロリダ近辺で活動し、KochやClaveBopに吹き込みを残す他、チャック・オウェン(key)のビッグ・バンド:The Jazz Surgeの一員としても辣腕を揮ってきたアレンジャー肌の実力者:ジャック・ウィルキンス(同名ギタリストとは勿論別人)の、今盤は、スウェーデンへ赴いてヤン・アラン以下当地のスター・プレイヤー達と組んだセクステットによる一作。ストックホルム録音(2006年作品)。きめ細かく端正にキッチリ整った、旨味と威厳ある3管アンサンブルも随所でダンディーな輝き(引き締め効果?)を示しながら、キリッと絞りの利いたブルージー&エネルギッシュな逞しい(またある時は柔らかで優しい)テナー・ブロウ始め、各人のよく練磨熟成された表情豊かな正攻法バップ・プレイが、安定して芳醇に座を彩ってゆく風格の逸編である。テーマ・アンサンブル部分では趣味のいいアレンジ力と緊密ユニット様の高度なチームワーク〜様式美センス、などが遺憾なく発揮されながら、大方はあまり主役を限定しない「群像劇セッション」風(ドラマティックな筋書き演出も適宜あり)のシンプルな和みめ抒情派ハード・バップ奏演が続いてゆき、テナー者の、タイトさとソフトな丸みの入り混じった弾力的トーンによる、ハード・ドライヴィングでいて微妙にレイジーな脱力感も匂わせつつの、どこか恬淡と渦巻き流れてゆくような哀愁スモーキー・ブローイング、が何とも渋〜い行間余情を残す他、カラッと晴れやかで清涼なアルトの闊歩ぶりや、モード派の正統スタイルで精悍凛々とキレのあるフレーズを繰り出す半スピリチュアルなピアノ、物憂く翳ったハードボイルド調〜明朗牧歌風情〜燻し銀的吟醸ブルース指向、と巧みにキャラを演じ分けるシャープ&ハスキーなトランペット、らも殆ど優劣なく濃厚に存在感を放って、ギッシリ密な充実した道程に仕上げられている。

1.Dear Old Stockholm
2.Idas Sommarvisa
3.Long Ago And Far Away
4.A Phares Of The Heart
5.Blue Silver
6.Emigrant Visa
7.Fried Bananas
8.Morning Shine
9.Swedish Schnapps
10.Strollin'

Jack Wilkins(ts)
Jan Allan(tp)
Tamara Danielsson(as)
Per Danielsson(p)
Hans Backenroth(b)
Johan Lofgrantz Ramsay(ds)
スウェーデン-ストックホルム録音(2006年作品)

在庫有り