★1970年代前期より活動し、バンド・シンガー(アーティ・ショウ楽団他)としての活躍を経て、今日まで長らくNYのラウンジ・シーンでの弾き語り公演を活動の根幹としてきた、ブロッサム・ディアリーにも底通するプリティーで瀟洒なピアノ弾き語りに定評を得る、そしてまたArborsやAudiophile他よりの趣味のいい好アルバム群にも人気を集めてきた、ベテラン実力派歌手:ダリル・シャーマン(1949年ロードアイランド州Woonsocket生まれ)の、今作は、ソロを基本として、2曲ではハーヴィー・シュワルツ(b)も迎えつつのインティメイトな一編。
★きめは細かくまろやかな潤いを湛えた、トーン高めのちょっと少女っぽくもある端麗ヴォイスによる、優しく丁寧に情感の込められた、ロマンティックで可憐げ、それでいて結構ブルージーな渋い吟醸テイストも端々に仄めく、何とも軽妙なるリリカル歌唱が粋に華を成し、ストライドを基調とした安定感あるピアノ弾奏も中々滋味深い魅力を添えた、愛らしくも思わずホッとするハートウォーミングな好演内容。
★落ち着いた静穏な息遣いや和み感を自ずと呈しながら、緩急も按配よくつけられる、「ナイト・ラウンジでの寛ぎ小唄ショウ」的な趣の、誠にセンスよく洒落た道行きが続き、シャーマンの、肩の力を抜いて、自然体で飄々と流麗闊歩するようであり、そうした中で、巧まざるウィットっぽさや節度、何げに研磨された品格、なども見え隠れする、そのさすが熟練した語り口が、アジな冴えを見せてゆく。歌詞とメロディーを大切にしつつ、真心&ニュアンスのこもった端正な文脈をしっとりジンワリ編み上げてゆくその、初々しいまでのキュートさと、ブルース由来の濃い旨味(やスモーキーな陰影)、が絶妙に掛け合わされた、ソフィスティケート&テイスティーな滑脱節、の一聴サラリとしていながら深い余情をも残すたたずまい、えも云われぬ風流ムードが格別。カッチリ手堅く温もり豊かなピアノ・プレイや、シュワルツのコクのあるダイナミック・グルーヴィーな助演、も好印象。
1. アイ・ウォーク・ア・リトル・ファスター
2. 素敵だと思わない?
3. フィール・ライク・メイキン・ラヴ
4. レッツ・ゴー・ライヴ・イン・ア・ライトハウス
5. サイクリング・アロング・ウィズ・ユー
6. インサイド・ア・サイレント・ティアー
7. マイ・ブルー・ヘヴン
8. ユー・ターンド・ザ・テーブルズ・オン・ミー
9. フライ・ミー・トゥ・ザ・ムーン
10. ユー・ワナ・ベット
11. ザ・ブルックリン・ブリッジ
12. ザ・ムーン・イズ・ア・ハーシュ・ミストレス
Daryl Sherman ダリル・シャーマン(vocal,piano)
Harvie Swartz ハーヴィー・シュワルツ(bass on 2,10)
2015年録音
レーベル:
Muzak
在庫有り
国内制作CD