円熟の快進撃が続く、お馴染みエヴァンス派で鳴らしたデンマークの人気ベテラン・ピアニスト:トーマス・クラウセン(1949〜)の、今回は、以前好評を得ていた一作「Back To Basics」(2006年)と同じ顔ぶれのトリオを率いての、自作曲中心の一編。澄みきった潤いと深い陰影を併せ持った、一音一音きめ濃やかに鋭く斬り込んでくるような生鮮度バツグンのクリアー・タッチによる、ダイナミックに起伏を描きながら端正にメロディーを歌う、中々表情豊かな機動的リリカル・プレイが、フレッシュ・スリリングでいて風格堂々の清々しい映え具合を見せた、熟成味溢れる会心打内容。メリハリに富んだアクション型抒情派路線の正統らしい滑脱な、歯切れよいメロディック・スインギー奏演がイキイキと、精悍げな息遣いで紡がれてゆき、ドラム&ベースのアタッキングなサポートにシャキシャキと煽られ、ハジかれながら、クラウセンの、腰を据えて伸びやかに練達のワザを揮いきる、自然体にして軒昂な覇気に満ちた勇躍ぶりが、輪郭も明瞭に骨太な絵を飾ってゆく。エヴァンス流儀をよりビター&ハードに強壮化・ダイナミック化した、とも云うべき、剛健・鋭敏な中にロマンティックな詩情〜哀愁が絶妙によぎる、キレ味シャープでキリッと鮮明に音の立ったメランコリック・アクション節が、青嵐一陣!っぽく何とも爽やかな冴えを示しており、より斬り口を深く掘り下げてゆくような半内省的な憂きアンニュイ・バラードや、マイルド・フォーキーな安らいだ牧歌フレージング、ドッシリ構えたファンキー・グルーヴ調のソウルフル節(エレピ)、といった転回にもそれぞれ奥行き豊かな、さすが確固たる(懐の広そうな)妙味がある。
1.
スプリングタイム Springtime
2.
夢 Dream
3.
ソル Sol
4.
前奏曲 Prelude
5.
見渡す限り雪 (イッツ・ホワイト・アウト・ヒア) Det Er Hvidt Derude
6.
青草 Green Grass
7.
花と木 Flowers & Trees
8.
ベース・スペース Bass Space
9.
ノルウェー The Norway
10.
お伽話 Fairy Tale
11.
たそがれ Skumring
12.
ソー・トゥー・スピーク So To Speak
Thomas Clausen トーマス・クラウセン(p)(elp on 6,12)
Thomas Fonnesbaek トーマス・フォネスベック(b except 4,9)
Karsten Bagge カーステン・バッゲ(ds except 4,9)
2012年3月17&18日スウェーデン-イェテボリのNilento Studio録音
レーベル:
Stunt
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CD