★ブラッド・メルドー・トリオによる久々のスタジオ録音アルバム。全曲メルドーによるオリジナル曲。
●また一段と貫祿を増してきた人気者メルドー(1970〜)の、久しぶりとなるレギュラー・トリオ体制での一編。クリーンな透明感と、薄曇りっぽい微妙な陰影、が混ざり合った、キレのあるドライな風合いのピアノ・タッチによる、前後左右上下あらゆる方向へ刻々と超フレキシブルに機動的攻勢を仕掛けてゆく、ような独自のダイナミズム表現、そしてそうしたアクション調の流れの中で次々と形を浮かび上がらせてくる、ブルージー・テイスティーな美メロ・フレージング、を細かく自在に連繋・連動させたワン&オンリーの旨口クール・スウィンギン・プレイが、益々磨きのかかった好調ぶりをごく軽やかに示した快打内容。スタイルの大枠は極めてオーソドックスな、「ブルース」と「スイング」をキモとした現代ハード・バップの正統らしい、即興の迫真性にも事欠かぬわりかしシンプルめの娯楽的な快演、がシャキシャキと紡がれてゆき、メルドーの、自然体で伸びやかにアドリブ大会を楽しむような、半ばセッション感覚っぽくもあるリキみのない闊歩勇躍ぶりが冴えている。例によって、左手も的確に駆使しつつ、色彩コントラスト的メリハリ感満点の文脈を、クッキリとしたキレのよさで鮮明に編み上げて見せる、幾何学性と甘美な詩情がすんなり同居した得意の「メルドー節」が随所で練達のキメ絵を飾っている他、ハンコック型の正攻法なダイナミック・アクション技や、ちょいモンク似の変則リズミカル・プレイ、柔和で優しい牧歌的ゴスペル・フォーキー・フレージング、更には、ピーターソンに接近した少々荒っぽい豪快ファンキー節など、豊富なヴォキャブラリーを滑脱に揮いきって、しかも一貫して余力を残した軽妙飄々げなたたずまいがあったりもする、という、その決して作り込まない、自然で均整ある鳴音のあり様が誠に好もしい。
1. M.B.
2. Ode
3. 26
4. Dream Sketch
5. Bee Blues
6. Twiggy
7. Kurt Vibe
8. Stan The Man
9. Eulogy For George Hanson
10. Aquaman
11. Days Of Dilbert Delaney
Brad Mehldau(p)
Larry Grenadier(b)
Jeff Ballard(ds)
2008年11月17日(#3,#8,#10のみ)、2011年4月19日ニューヨークのAvatar Studios録音
レーベル:
Nonesuch
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ブラッド・メルドーによる英文ライナー訳付
解説:山中 千尋
W紙ジャケット仕様CD 国内制作盤