90年代後期よりプロ活動を行なってきた、音楽教育にも尽力するオールラウンドな実力派ピアニスト:工藤雄一(1969年埼玉県生まれ)の3作目、=今回はスカンジナビアン・コネクションの森泰人の肝入りで実現したスウェディッシュ・トリオ編。しっとりした潤いや透明感に溢れながら、同時に、固い角張りや重み、陰影をも堅持した、一指一指に安定性&落ち着きを感じさせる非常に端正なピアノ・タッチによる、ダイナミックなアクション要素をふんだんに盛り込みつつ優しくスウィートな美メロ節を流麗に歌う、芯のしっかりした正攻法のリリカル・プレイが爽やかに映え渡った快打内容。アクティヴ抒情派の本道ド真ん中にブレなく軸を据えての明快滑脱な闊歩邁進、=親しみやすく歯切れよい娯楽指向のマイルド・バピッシュ奏演、が連続し、工藤の、表情豊かで均整のとれた、構成力も何げにバッチリの徹頭徹尾エンターテイニングな語り口の妙が、スッキリと清新に冴えて云うことなし。→キースやエヴァンスらの成果を十二分に踏まえた、しっとり感(orキラキラ感)溢れるまろやか風味のロマネスクな端麗フレージング、にとりわけ得難い本領を発揮する他、ハンコック・ライクな硬質力学タイプのアクション・イディオム技を随所に多々滑り込ませて、ピリッと苦味走った「ハード・バップらしさ」もヌカりなく醸成し続け、また、ブロック・コードを活かした粋筋のファンキー節や、哀愁と熱情の骨太ラテン・グルーヴ調、荘厳で感動的なスピリチュアル・ソング(讃美歌)風、などのバリエーション転回も軽やかにキメて、トータル的には、「柔和で甘美な牧歌詩人」っぽい余韻イメージを清々しく残してゆく、という、そのけっこう懐広いジェントル・テイスティーな鳴音キャラは魅力満点。
1. Birth
2. Polovtsian Dance ダッタン人の踊り A.Borodin
3. Symphonic Dance
4. Spring
5. Snow Light
6. Symphony No.3 Op.90:III 交響曲第3番3楽章 作品No.90 J.Brahms
7. Bolero
8. Palmas
9. 祈り (Pray)
10. Traumerei トロイメライ R.Schumann
工藤 雄一 Yuichi Kudo(p)
森 泰人 Yasuhito Mori(b)
Goran Kroon ヨーラン・クローン(ds)
2011年1月25-28日スウェーデン-イェテボリのNilento Studio録音
レーベル:
24 Record's
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在庫有り
CD