●依然元気一杯な大長老:バッキー・ピザレリ(1926〜)の、今回は、長年敬愛してきたビル・チャリス&ビックス・バイダーベックに因んだ一編。編成は、Jerry Brunoのベースを不動の柱としつつの、息子ジョン参加のトリオや、ストリング・カルテット入りのセクステット、ヴァイオリンorマンドリン入りのトリオなど。グラッペリ風ヴァイオリンのメロディック・スウィンギンな滑脱プレイ(またはその立体化っぽいストリング・アンサンブル)、も適宜な按配で花形っぽくフィーチュアされながら、バッキーの、アコースティックによるリズム・ギター的なサバけた趣向と、7弦エレキによる潤いたっぷりのバラード的な美メロ表現、とを的確に使い分けた、さすが醸熟のマイルド・ブルージー・プレイが事も無げな軽やかさで悠然・飄然と絵を飾ってゆく、また何とも幽玄深い快投内容。ストリング陣入りのトラックでは、概ねフランス・ホット・クラブ的なスイング・スタイルを基調としながら、バッキーの、カラッとした風合いの中にも爽やかな潤いを多々含んだ、キレのあるリズミカルなコードワークが燻し銀風の渋い魅力を放ち、一方、ジョンとの2ギター体制では、トータルな音響造形デザイン面により緻密で細かい意匠の揮われた、ちょっとレス・ポール似だったりチェンバー風だったりの、メロウでお洒落な趣味よき寛ぎ浪漫派的アプローチに終始して、その優しい快適空間にしっとり酔わせてくれる、といった具合で、全体を通じてアレンジ・構成に中々周到な創意を凝らした、無駄もない簡潔かつ高密度な展開となっている。が、しかし、バッキーのギター演奏そのものには、いささかもリキんだところはなく、陽気で伸び伸びとした風流歌人の如きリラクゼーションが鳴音に満ち溢れていて、どこを聴いても思わずホッとさせられる。という絶妙の塩梅。
1. Sunday
2. Sugar
3. Challis In Wonderland
4. Davenport Blues
5. In The Dark
6. Romanza
7. Singing The Blues
8. In A Mist
9. Oh Baby
10. Sugar
11. Candlelights
12. What's New
13. I'm Coming Virginia
14. Flashes
Bucky Pizzarelli(ac-g,7string-g)
John Pizzarelli(7string-g on 3,5,6,12)
Jerry Bruno(b)
Dick Lieb(strings-arr,strings-cond on 1,4,7,10,13)
Aaron Weinstein(vln on 1,2,4,7,10,13)(mandolin on 9)
Svetlana Tsoneva(vln on 1,4,7,10,13)
Olivia Koppell(vla on 1,4,7,10,13)
Jesse Levy(cello on 1,4,7,10,13)
2010年8月15日、2011年3月28&29日NYCのNola Studios録音
レーベル:
Arbors
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CD