★ミシェル・ルグランは映画監督ジャック・ドゥミと組んで比類のない音楽映画を生み出した。言わずと知れた「シェルブールの雨傘」だ。その名声に隠れて割を食っているものの、続く「ロシュフォールの恋人たち」も素敵な映画で、そうしたものに触れるとルグランはジャズマンというよりやはり映画音楽の人なのだと思ってしまう。
●閑話休題。このCDのオープナーはその「ロシュフォール」の挿入歌だ。実はこの曲を冒頭に据えたアルバムがもう一枚ある。ストリングスとの共演で、エレピを使用したことが仇となり殆ど黙殺されているエヴァンスのFrom Left to Rightだ。皆さん、ほんとに聴いたことがありますか?すごく良いですよ。ただ、それはエヴァンスのイマジネーションやインタープレイのスリルに期待しなければ、の話。求めるものを間違わなければ楽しみの間口はうんと広がる。
★無名のオランダ人ピアニスト、ビーストのこのアルバムはどうだろう?ハードでスリリングなピアノ……とは言えない。けれど、件の?をはじめマンデル、マンシーニ、ジョビンにマッカートニーとこれでもかとばかり詰め込んだ美しいメロディを更に発展させようとするかのような演奏は、楽曲をアドリブの素材として扱うこととは対極にあるジャズならではの寛ぎを与えてくれる。クリエイティヴな刺激だけがジャズだろうか?スウィート・ジャズ・ピアノ・フォー・ラヴァーズ・オンリー。そんな作品があってもいいじゃない、と天国のエヴァンスも笑っているかも知れない。(北見 柊氏のライナーより)
1 What Are You Doing The Rest Of Your Life
2 There's No Greater Love
3 The Shadow Of Your Smile
4 Because Of You
5 The Days Of Wine And Roses
6 Yours In My Heart Alone
7 In A Sentimental Mood
8 Blue Bossa In De Amsterdamse Grachten
9 Once I Loved
10 Michelle With Wave
11 Blues For Monty
Jos Van Beest(piano)
Evert J.Woud(bass)
Rolf Breemer(drums)
1993年2月 録音
在庫有り
デジパック仕様CD
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