CATFISH RECORDS

主流派バップ、ビッグ・バンド、歌伴、フリー・インプロ路線、と、西海岸シーンで八面六臂の大活躍を続けるオールラウンドなマルチ・リード(テナーサックス中心)の逸材:ダグ・ウェブ(シカゴ生まれ)の、好評だった一作「Midnight」と同じ顔ぶれのカルテットやデュオによる熱演集。太く逞しげなガッシリ感と、丸みを帯びたソフトな滑らかさ、が自然に一体化した、表情ある旨口テナーのマイルド・メロディックな渦巻きドライヴィング・ブロウ、がスッキリ爽やかにおいしい豊作ぶりを見せていたかと思えば、一転、鋭く尖った刀剣の如きソプラノや荒々しく音をヒズませたバリトンによる、ただならぬ切迫感を伴った自由即興度高めの超アグレッシヴな大暴れ疾走攻勢!、が野性味たっぷりに決め込まれたりと、全体を通じて、起伏は中々烈しいがあくまでストレートアヘッドな人情肌の現代メインストリーム・ジャズ街道から歩を踏み外すことのない、気合のみなぎった快進撃の連続で大いに昂揚させる敢闘内容。歌心や情緒性を絶やさない軒昂溌剌な、非常に入り込みやすい活劇エンタテイメント調の行き方が続き、ウェブの、今回はスピリチュアル・ジャズ・タイプの熱血武勇肌な濃い口モーダル・アクション流儀に軸足を置いた、シンプルで潔い、真っ向勝負のアドリブ活躍がスカッと後腐れなげに冴え渡って爽快だ。テナーによる、一定の落ち着きや安定性を音色に宿しつつのわりかし端正な、滑りのいいメロディック吹奏が、猛々しげな中にも一抹の優しさやハード・バップ由来の旨味を漂わせて、半ば和み処を好もしく担っている一方、ソプラノによる、その鳴音には絶えず鋭く妖しい緊張感がみなぎった、ワイルド&エネルギッシュそれでいて精確巧緻に音響の「美」を維持しての大立ち回り咆哮!、の(ちょっとミステリアスでもある)奥深い味わいがまた、得難き魅力。

1. Soul Eyes
2. Patagonia Suite
3. Simone
4. Where Or When
5. Rizone
6. Apodemia

Doug Webb(ts,ss,bs)
Larry Goldings(p on 1)
Joe Bagg(p on 4,6)
Mahesh Balasooriya(p on 2,3)
Stanley Clarke(b except 4,5)
Gerry Gibbs(ds except 4)

2009年4月24日カリフォルニア州ノース・ハリウッドのEntourage Studios録音

レーベル：Posi-Tone

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紙ジャケット仕様CD