70〜80年代は主にシアトル・シーンで、その後は生まれ故郷のコロラドで演奏活動を行なってきたベテラン・ピアニスト:Sam Pannunzio(1949〜)の、シアトルの演奏仲間達と組んだトリオによる自作曲中心の一編。硬質堅固さと流麗潤滑さ(〜半脱力感)がバランスよく合わさった、指圧力は中々強いがリキんだところのない、自然で堂々げな骨太クリアー・タッチによる、エヴァンス流儀を最得意の柱とした、マイルド・ロマンティックな正攻法のモード系リリカル派プレイがスッキリ爽やかに、かつ旨味も深い安定した映え具合を見せた快投内容。メロディーの美や詩的情緒性を何より重んじる、極めてオーソドックスな明朗抒情派快演が太い輪郭で綴られてゆき、Pannunzioの、優しくもスケール感ある伸びやかなアドリブ妙技が、一貫して親しみやすさ抜群の美味しい、そしてブレのない絵を悠々飾ってゆく。エヴァンスの流れをストレートに汲んだ、弾力的フレキシビリティに富む耽美指向のアクティヴ・バラード文体=抑揚豊かなスウィート・メロディック節、を変わらぬ根幹とし、それとほぼセットで、高音部を玉転がしっぽく軽涼に鳴動させる脱力奏法、を定番の香味として混入させて、寛ぎブルージー小唄的な瀟洒ムードを適宜醸成する他、ハンコック型モード・ピアノの正統らしいパーカッシヴめのダイナミズム表現や、J・ヒックスの甘口面にも通じるスピリチュアル派タイプのおおらかな牧歌調フレージング(これが第二の柱か)、などの転回も絶妙のタイミング&サジ加減でインサートしてゆくその、懐深げで均整ある「エンタテイナー気質」然とした語り口は魅力大。
1. Another Time
2. The B-Side
3. Mimi
4. Closer
5. My Aunt T
6. Leslie
7. The Waltz
8. Azene
9. Goin' Home
Sam Pannunzio(p)
Mark Bullis(b)
Lionel Kramer(ds)
2010年9月16日ワシントン州EdgewoodのDavid Lange Studios録音
レーベル:
Eastside Jazz Recordings
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