NYシーンの主に尖鋭派寄りな人脈(ブラクストン、S・コールマン、S・リーマン等々)の中で八面六臂の活躍を続けてきた敏腕ドラマー:Tyshawn Sorey(1980〜)の、ローレン・スティルマン参加の小コンボによる自作曲集。四方八方へ素早く瞬間移動しながら、キレ味もシャープにけたたましい爆雷轟音を次々ぶつけてくるような、怪しい黒幕然としたドラムの速射砲撃的ゲリラティック攻勢!、にビシバシと烈しく(或いはジワジワとサスペンスフルに)突き煽られつつ、アルトサックスを中心主役としたリアル即興度も高いダーク&ミステリアスな緊迫アクション妙演、が甘さを排した険しげな面持ちで濃密に展開される、歯応え満点の敢闘内容。枠組(スタイルの基本)としては、かつてのM-BASEファンク物を適宜シンプル化した感じの、暗く怪しい不穏さやドンヨリ曇った思索瞑想ムードが絶えず根底に横たわる、サスペンス・ミステリー調の機動的リズミカル奏演がどこかしら冷やかに、滑脱に紡がれてゆく、という中々シリアスな道程となっており、テーマ部分のアンサンブルには、チョイ複雑めに入り組んだ幾何学的メカニズムの妙や独特のクールネス、などといった音響造形の様式美っぽいこだわり・意匠もキッチリ揮われつつ、その一方、即興ならびにインタープレイのリアリズムを徹底強化した、硬派フリー・ジャズ型のアブストラクトな異形インプロ激突、が随所に現れて結構ハードなピリ辛っぽい引き締め効果・刺激剤効果を齎し、全体を通じて全く予断を許さない、何げに起伏の大きな激流コースがただならぬ迫真力で形作られていて、圧巻だ。個人プレー面ではやはりスティルマンの、「知的に鬱屈した現代都会人のフラストレーション」を生々しく象徴するかのような、クール・デカダンな灰色気分の遊泳ブローイング、が傑出。
1. Twenty
2. Eight
3. Thirty-Five
4. Eighteen
5. Forty
6. Twenty-Four
7. Seventeen
8. Twenty-Five
9. Fifteen
10. Thirty-Six
Loren Stillman(as)
Todd Neufeld(elg,acg)
John Escreet(p,elp,synth)
Chris Tordini(b)
Tyshawn Sorey(ds)
2011年作品
レーベル:
PI
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デジパック仕様CD