ポーランドの人気グループ:シンプル・アコースティック・トリオの中心人物であるピアニスト:マルチン・ヴァシレフスキの、自己単独名義トリオ(顔ぶれはSATと同一である)によるECM第2作。2007年2月NY録音。深い陰影味とやや抑えめの濃やかな潤い感、を呈した、繊細で折り目正しい、安定感あるクール・タッチでの、落ち着いたアンニュイ調子で憂愁的情景を瑞々しくスケッチしてゆくような、ビタースウィート風味の耽美派リリカル・プレイがしっとりと映え渡った典雅編である。浮遊型インタープレイ手法による妖しくシャープなサスペンス要素も多々盛り込まれながら、基底リズムは刻々とフレキシブルに変移転回してゆく、ヨーロッパ・アート系浪漫派の典型然とした、気品豊かで香り高くもごく親しみやすい、そして快適な、根は奥ゆかしく柔和な唯美的詩人気質のメロディアス妙演が、端正かつ滑脱に続き、主役ピアノの、仄暗くレイジーな物憂げ気分の白日夢の如き、甘さを抑えた半内省型・心象スケッチ風の非常にきめの細かいバラード・インプロヴィゼーション、に深遠な本領を発揮する他、よりスウィートで晴朗なポップ歌謡的キャッチー・メロディストぶりをも垣間見せる和み路線や、硬質でピリ辛なアブストラクトめの独創的ブルージー・アクション熱演、にも中々の新味を示した、センシティヴ&ドラマティックなその機動的活躍が、実にイキイキ&キラキラした魅力を放ち続けている。
1.The First Touch
2.Vignette
3.Cinema Paradiso
4.Diamonds And Pearls
5.Balladyna
6.King Korn
7.The Cat
8.January
9.The Young And Cinema
10.New York 2007
Marcin Wasilewski(p)
Slawomir Kurkiewicz(b)
Michal Miskiewicz(ds)
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CD