CATFISH RECORDS

★揺るぎなく真っ直ぐに精進を続ける誠実一徹なバップ・ピアノのベテラン名手:ホッド・オブライエン(1936年シカゴ生まれ)の、今回は、トリオを軸に、夫人であるステファニー・ナカシアンのヴォーカルも5曲で加えつつの快編。

★岩石っぽいハードネスや暗影と、清流の如きクリーンな潤い感、を併せ持った中々表情豊かな旨口タッチによる、ガツン・ゴツンと重量級の力学攻勢で硬派に迫りつつ、小回りを利かせてマイルド・ブルージーに粋な歌謡情緒も描出して見せる、カラッとサバけた明朗人情肌バップ・プレイがさすが醸熟の深みを示した、シブ瑞々しい快投内容。単純明快エンタテイメント指向の直球バップ大会!が歯切れよく楽しげに一貫し、オブライエンの、自然体で伸び伸びと得意ワザを繰り出し続ける風な、精悍軒昂にしておおらかな温もり溢れる闊歩邁進ぶりが、またゴキゲンに、キッチリとおいしい実を結んでゆく。

★シャープなキレ味にも全く衰えのない、硬質に角張った殺陣風のバップ・イディオム節をキビキビと紡ぎ出しながら、トータルに俯瞰するとまろやかな渋味がじんわり立ち昇ってくるような、さりげなく柔和でコク旨な哀愁アクション世界を職工作業っぽい実直さで創出して見せていたり、時折機智を含めるように脱力した軽涼ファンキー・フレーズを盛り込んで、瀟洒な寛ぎムードを絶妙に演出したりなど、全編を通じて、何の変哲もないオーソドックス・プレイに終始していつつも、ワン&オンリーの幽玄余情が後々までフレッシュに残る、という、その「燻し銀俳人」の如き鳴音キャラは理屈抜きの魅力。

★ナカシアンの、開放感あるスッキリ清爽クールな歌唱も好インパクト。

1. It Don't Mean A Thing (If It Ain't Got That Swing)
2. Reets And I
3. Georgia On My Mind
4. I Only Have Eyes For You
5. Born To Be Blue
6. Beautiful Friendship
7. My Heart Stood Still
8. Laughing At Life
9. Jigglin And Wigglin
10. East Of The Sun
11. Sweet Georgia Brown
12. Dewa Nochi Hod

Hod O'Brien(p)(vo on 12)
Michael Hawkins(b)
Billy Williams(ds)
Stephanie Nakasian(vo on 5,8,10,11,12)

2011年作品

レーベル：Spice Of Life

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国内制作デジパック仕様CD