●メイナード・ファーガソン楽団を経てミネアポリスのシーンで精力的に活動、Igmod等に吹き込みを残してきたベーシストの、ピアノ・トリオ・セッション企画シリーズの第3作。ミネソタ州ミネアポリス録音。過去作品同様、pとdsの顔ぶれが次々と変わる、全部で4種類のピアノ・トリオによる演奏が聴かれる。弾力感と温かみに溢れた太いb鳴動が音空間の中心で美味しく際立ちながら、ひたすらハートフルでスインギーな溌剌とした抒情派ハード・バップ演奏が紡がれてゆく明快内容である。滑脱で歯切れのいいグルーヴ感と、優しくウォームな歌心、を徹底尊守した、ダイナミックにして情趣の上ではリラックスめな、旨味もたっぷりの親しみやすい道程が続いて行き(テンポやリズムは多種多様)、共演者によって微妙に鳴動パターン(音響や語法)を変化させてゆくb者の、表情多彩で雄弁闊達な歌い躍りっぷりが一貫してイキイキと頼もしげに冴える一方、p者連の、小粋なファンキー・リラクゼーション節、瞑想感を孕んだ繊細でクールな思索的バラード・プレイ、正攻法のブルージーな歌謡ハード・バップ風、エヴァンス・ライクな躍動的耽美派スタイル、など、それぞれにボキャブラリー豊富な伸び伸びとした自然体の立ち働きも、エッセンスを凝縮したような超デリシャスな「華」を成していて魅力大。ds者の交代によってグループ全体の求心力と遠心力のバランス,シャープネスや潤滑性〜浮遊性の有り様が一変してゆく辺りも興趣深く、b者の極めて存在感濃厚な八面六臂の大活躍を核とした、多層多角的な娯楽派リリカル世界にノリよく酔わせる、安心の豊穣作品となっている。
【Piano&Drums】
Giacomo Aula & Jay Epstein/Matthew Fries & Phil Hey
/Jon Weber & Joe Pulice/Benny Weinbeck & Steve Gadd
※全曲にてベースはGordon Johnson
1. Mountain Flight
2. The Best Thing For You
3. Nobody Else But Me
4. Zingaro
5. Samba de Flora
6. Orchid
7. Let's Misbehave
8. Canzone Por Nino
9. Jubilation
10. Laughin' Blues
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CD