★澤野工房が惚れ込んだ新しい才能を皆さんにご紹介する。坂田尚子、いまだ27歳の女性ピアニストだ。なぜ惚れ込んだのか?代表・澤野由明は「とにかくピアノの音がスゴイんや」と申しております。この人は面白い表現をするところがあって、以前、自主コンサートのリハ終了後にも「ピアノってこんな風に鳴るんやな〜」と感動していたことがある。ピアノ・ジャズをさんざん聴いた挙句、人様にあれやこれやと紹介する立場になってこの発言。無防備なほどのピュアネスと言うべきか。それだけに、「音」に対する耳は信頼できる。彼が「スゴイ」と言った=タダ者ではない、のだ。ま、あえてさらりと流すけれど、坂田(奈良県出身)はスウェーデン・イエテボリ音大の即興音楽科に在籍、数々のコンクールで評価されている。たしかにタダ者ではないだろう。尤も、学校でやっていることは所詮お勉強だ。我々が知りたいのは、そんなことじゃない。しかし、実際に録音された演奏を聴いて、これは確かにスゴイわい、と思った。何度も書くことだが、技術は手段でしかない。技術にいくら長けようと、表現すべきイマジネーションが貧弱なら、それは貧弱な音楽しか生まない。坂田は、どうか?驚くべし、そこに展開されるのは、ピアノ・トリオというフォーマットの可能性を突き詰め、現実と幻想のあわい(それは楽曲のタイトルからも想像できるが)を揺れ動くような音の万華鏡なのだ。美しく、深い音像は、あなたにとって未体験の白昼夢かも知れない。優れたアーティストにとって、処女作ほど重要なものはないから、これは是非聴いておいて頂きたい作品だ。この先、はるか高みを目指すだろう、坂田尚子の飛翔を見守るためにも。(Text by 北見 柊)
1. Kaleidoscope
2. Victoria Station
3. Daybreak
4. Line
5. Butterfly in the Circle
6. Der Wal
7. Bigfoot 8.Digerhuvud
Naoko Sakata (piano)
Anton Blomgren (bass)
Johan Birgenius (drums)
2010年3月1、2日 録音
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デジパック仕様CD
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