★ヴィブラフォンでは黒人のミルト・ジャクソン、ライオネル・ハンプトンの両名は有名だが、白人では、古くはレッド・ノーヴォ、そして今回リリースされたテリー・ギブスは最も快適にスイングするヴィブ奏者であり、アメリカでは沢山の有名プレイヤーとレコーディングを行っているが、本邦では少ないプレイヤーの一人である。
★筆者は前から存知ていたが、前々からレコーディングを行いたかった一人であった。幸にも1981年の5月、シェリーマンのリーダーで録音した「ハリウッド ジャム」のスタジオにテリー・ギブスが顔を見せたので、早速レコーディングの企画を提案、実現したものである。
★シャープなヴィブプレイで有名なギブスは心良く申し入れを受けてくれ、選曲はすべて彼が決める事で、82年1月にハリウッドで録音することが出来た。唯一つ制作者の希望としてギターを加えての編成を申し入れた。そして5人編成のウエストコースターズの録音を行うことが出来た。(ライナーより抜粋)
1. THERE WILL NEVER BE ANOTHER YOU
2. PLEASE LET ME PLAY THE BLUES
3 .MISTY
4. ALL OF ME
5. MY BUDDY
6 .WALTZ FOR MY CHILDREN
7. YOU'D BE SO NICE TO COME HOME TO
TERRY GIBBS (Vibraphone)
AL VIOLA (Guitar)
LOU LEVY (Piano)
ANDREW SIMPKINS (Bass)
JIMMIE SMITH (Drums)
1982年1月14日,15日 ハリウッドSAGE&SOUND 録音
在庫有り
紙ジャケット仕様CD
【PERSONNEL】
* TERRY GIBBS (Vibraphone)
1924年10月13日ニューヨーク生れ。兄弟姉妹揃って音楽をやり、ギブスは最初シロフォンとドラムを手掛け、コンテストに入賞。その後軍隊生活を3年過ごし、トミー・ドーシーのバンドに入り、48年にウディ・ハーマンのバンドに参加、頭角を現し、50年に自己のビックバンドを編成。一時ベニー・グッドマンと仕事をしていたが、再び自分のビックバンドを作り、ハリウッドのクラブで演奏を続けている。日本には2004年、コンコード・ジャズフェスティバル参加のため来日。ケン・ペプロウスキー・クワルテットの一員としてプレイを聴かせてくれた。
【曲目紹介】
1.THERE WILL NEVER BE ANOTHER YOU
作曲家ハリー・ウォーレンが1942年映画「アイスランド」の為に書いたメロディで、ウォーレンの美しいメロディを各プレイヤーが奏するスィンギーな歯切れの良い快演を楽しむことが出来る一曲である。
2.PLEASE LET ME PLAY THE BLUES
ギブスのオリジナル・ナンバー。アップテンポのブルースナンバーで(VIB→P→G)の順にソロが奏され、息の合ったソロが次々に展開されている。ギブスのオリジナルだけあって彼の活躍するコーラスが一寸長めであるが、独得の彼のテクニックが最大に発揮されているようである。
3.MISTY
ピアニスト、エロール・ガーナが書いた代表作。無伴奏のギターのソロからスタートし、ピアノ、ヴィブが加わってくる。ムーディな雰囲気の中に好ましいプレイが繰り広げられていて、ベテランらしい味付がされている演奏と云えるプレイが楽しめる。
4.ALL OF ME
1931年ジェラルド・マークスとセイモア・シモンズが共作したラブソング。躍動的なリズムに乗ったナンバー。ここでもギブス、レヴィー、ビオラの順でソロが楽しめる。特にギブスのヴィブは良く唄っている。
5.MY BUDDY
このCDのタイトルにもなっているメロディで1922年ウォルタ・ドナルドソンが作曲。ガス・カーンが作詞した洒落たナンバー。各ソリストが軽快なテンポに乗ってソロを最大に発揮してくれている。ビオラ、レヴィー、シンプキンスが共に好演。この曲の良さを知らせてくれている。
6.WALTZ FOR MY CHILDREN
この曲はテリー・ギブスのオリジナル・ナンバーで愛くるしいメロディを持ったナンバー。ハートウォーミングな各人のソロは、ギブスの画いた彼独得のメロディラインが生かされ、このグループにふさわしい演奏を展開してくれている。
7.YOU’D BE SO NICE TO COME HOME TO
コールポーターの代表的な作品の一つで、この曲を有名にしたのは御存知、ヘレン・メリルとクリフォード・ブラウン共演のレコードである。お馴染みのテーマをギブス、レヴィー、ビオラが実力のあるソロを披露してくれる。特に後半のヴィブ、ピアノ、ギターのインプロヴィゼーションの絡みは聴きものであろう。
(PERSONNEL及び曲目紹介はライナーより抜粋)