★四半世紀来トリオを主軸に独自のロマンティシズム表現を深化させ続け、またビッグ・バンドのコンポーザー&アレンジャーとしても多方面で英才を揮って高い評価を得てきた、スウェーデン・ジャズ・ピアノの最高実力者の一人:ラーシュ・ヤンソン(1951年スウェーデンのオーレブロ生まれ)の、今回は、自己のトリオに、4人のストリングスと5人の木管楽器から成る一団:アンサンブル・ミッド・ヴェストを噛ませ、クラシックの要素も若干加味したユニークなオリジナル・コンポジション演奏を聴かせる、という、作編曲家としての英才が遺憾なく発揮された入魂作。2008年1月スウェーデン-イエテボリ録音。
★壮麗甘美で抑制ある管弦アンサンブルに優しく、滑らかに導かれながら、キレよくも潤いに富んだ清涼クリアー・タッチ・ピアノの、耽美的スウィートネスとハード・バピッシュな硬質さ・渋旨さをバランスよく細かに交錯させた、自然で闊達なメロディアス・プレイが、また一段と爽やかに絵を飾った快適芳醇編である。
★先ず作編曲〜構成が入念緻密に練り込まれ、→リズム・パターンはファンクなどコンテンポラリー系統まで射程に入れて刻々とオールラウンドに変転しつつ、管弦グループの音響も、チェンバー物の定番っぽい柔和な風合いから現代音楽似のピリッとシャープなスパイシーめの鳴り様まで変幻自在、そして、曲調〜情趣のあり様も、ソフト&マイルドな娯楽的チェンバー・ジャズの正統タイプや、クラシック色を強めたちょいシリアスめのサード・ストリーム風、一転してトリオの動向がシンプルにクローズアップされた直球型ハード・バピッシュ路線、もしくは北欧浪漫派の王道らしい軽妙サンバ調、などの推移を次々に見せてゆく、という、色とりどりの万華鏡のような劇的道程が比較的足早な簡潔さでテキパキと展開してゆき、瑞々しい意表性もたっぷりで全く飽きさせない。
★今回はリアルなインプロヴィゼーション云々よりも「キメ」に重心を置いて、得意のジェントル&スウィートなまろやかロマンティック節や、ファンキー・ソウル溢れる粋な寛ぎバップ・アクション、にさすがの含蓄深さを見せる、ヤンソンのエッセンスを濃縮したようなソロ活躍名場面も多数。周到細密だが決して肩を凝らせない逸品。
1.Savasan
2.Schooldance
3.River Falls
4.The Wounded Healer Can Heal
5.Awakening
6.Pinot Noir
7.Where Is The Blues 1
8.Giving Receiving
9.Where Is The Blues 3
10.What Is Tomorrow
11.Worship Of Self
Lars Jansson(piano,arr,comp)
Christian Spering(bass)
Anders Kjellberg(drums)
*Ensemble Midt Vest
2008年1月スウェーデン-イエテボリ録音
在庫有り
デジパック仕様CD