★1980年代に北村英治や中村八大のグループで頭角を現し、以後、ストレートなジャズ・ヴォーカルとフリー即興派ヴォイスの両道に研鑽を重ねつつ、幾つかの企画デュオ・ユニットを始め様々なフォーマット、様々な他流試合プロジェクト、等で国際的活躍を続け、数多くの優れたレコーディングを残してきた個性派歌手:さがゆき(東京都出身)、を中心に、過去幾度も共演してきた(コラボ・アルバムも出していた)渋谷毅(1939年東京都生まれ)と潮先郁男(1933年大阪府生まれ)のベテラン2人が加わったトリオによる、元々は彼らと旧交深い中川信一郎氏(鹿児島のライブ・ハウス「パノニカ」店主)が企画・原案を立てた一作。
★2007年11月25日,26日,27日松本記念音楽迎賓館での録音。デュオ・トラックも幾つかあり、選曲は中山氏のリクエストに基づく。
★折り目正しくマイルド&ウォームな、落ち着いた優しい包容力を感じさせる繊細ピアノのブルージー・プレイ、に柔らかに導かれながら、自然な張りと厚みのある清澄クール・ヴォイスの、ウィットの利いた軽妙洒脱なリリカル歌唱や、息遣いもきめ濃やかな潤い溢れるギターの、明朗ほのぼの風情のスイング調であったり趣味のいい渋旨なラウンジ・バップ風であったりの熟練吟醸技、が伸び伸びと楽しげに、かつ節度を持って簡潔に、何とも小気味よい親密交感を繰り広げる風流編である。
★こざっぱりした爽やかな品のよさと、自然に力も抜けたソフトな憩い気分やゆとり、そして深い相互信頼・友愛に由来する(と思しき)インティメイトな(和気あいあいの)空気感、を終始変わらぬ身上とした、緩急メリハリも適宜なだらかにつけられる、温厚・穏和な寛ぎ調子のごく親しみやすい抒情派妙演が滑脱に、端正に展開してゆき、息もピッタリの多層的アンサンブル・ワークで、中々にクール&カラフルな(奥行きある)サロン調のグルーヴ感やリラクゼーションが手堅く醸成されつつ、各人の、持ち味を的確に凝縮構成したようなソロが余情豊かに座を彩り、潤わせてゆく。
★一座の花形を務めるヴォーカル者の、通りのいいスッキリ澄んだ声質を活かしての、アメリカン小唄派ジャズ・ヴォーカルの正統スタイルに軸足を置きながら、どこかしらゴスペル・シンガーとかに通じるおおらかなスピリチュアル・パワーを散見させたりもする、スタンスのしっかりした粋で力強い節回しが殊の外フレッシュな魅力を放っており、これにしっとりメロウに絡む端麗ギターや、一聴恬淡そうで何げに表情多彩なピアノのチョーきめの細かい立ち居振る舞い、も深遠な行間含蓄を炙り出して素晴らしい。
1.Let Me Call You Sweetheart
2.It Had To Be You
3.Keeping Out Of Mischief Now
4.The Nearness Of You
5.If I Had You
6.Am I Blue?
7.Do You Know What It Means To Miss New Orleans
8.Mean To Me
9.You Go To My Head
10.You Belong To Me
11.Indian Love Call
12.We'll Meet Again
さが ゆき(vocal)
渋谷 毅(piano)
潮先 郁男(guitar)
原案:中川信一郎
2007年11月25日,26日,27日 松本記念音楽迎賓館での録音
在庫有り
紙ジャケット仕様CD