●1950年代半ば頃からＮＹの主流派シーンで活躍、マクリーンやコルトレーンのレコーディングにも参加し、サラ・ヴォーンやディオンヌ・ワーウィックら歌伴でも多忙に活躍したジョン・メイヤー(1938年ニューヨーク生まれ)は、一時期音楽活動を休止していたこともあったが、90年代に入ってＬＡに拠点を移し完全復活、国内Normaからのトリオ作品やChiaroscuro、A-Records、Fresh Sound等への吹き込みで近年も益々意気盛んな健在ぶりを示し、先年当レーベルから出たＮＹ録音のトリオ作品(2001年録音「Full Circle」)も好評を博していたが、今回もまたＮＹへ赴いてのトリオ・セッション編。曲は有名ジャズメン・オリジナル群。引き締まった硬角質なタッチも凛々しげに、パウエル型の伝統的バップ・イディオムを基軸に置いた、質素で渋い直進スイングが決め込まれる、無駄のない快投内容である。謹厳でストイックな様式的立ち居振る舞いにほぼ徹した、歯切れよくもサバサバした職人芸風の行き方が続くが、そのドライで恬淡な所作動静の反面、ややくすみ気味・くぐもり気味の(不透明な)サウンドの端々に顕れるちょっとまろやかな感触が、文脈の硬質さ・厳格さを微妙にほぐし和らげる効果を成していて、道程は匙加減絶妙の行間余情や間口の幅を有したものとなっている。鋭角的なダイナミズムと俊敏な律動感を的確・明晰に表した、滑らかな手堅い闊歩進撃の中で、濃い陰影を含んだ物憂きリラクゼーションがしんみりとデリケートに映し出されるSouvenirや、エヴァンスのロマンティシズム世界をスクエアーな調子で中々簡潔に活写したVery Early他、バラードにおける含蓄豊かな情緒表現に、意表を衝いた独自の深い美的センスが揮われていて好印象を残す。b&dsの細かにツボを押さえたプロフェッショナルなサポートも秀逸。
1. Solar
2. Along Came Betty
3. Little Melonae
4. Souvenir
5. Recordame
6. Solid
7. Very Early
8. Ecaroh
9. Don't Misunderstand
10. Voyage
11. Ladybird
Jon Mayer(p)
Rufus Reid(b)
Willie Jones III(ds)
Recording at Avatar Studios, NYC on May 17, 2003
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CD
