DDQやAbeatよりのトリオ作品で支持を得る、エンリコ・ピエラヌンツィに師事したイタリアの抒情派ピアニスト:ファウスト・フェライウオロ(1965年ナポリ生まれ)の、メンバーを一新したニュー・トリオによる快作。2007年6月Genoa録音。曲はオリジナル中心に既製の名曲も少し。陰影豊かで潤いと滑らかさある、抑制の利いた中々折り目正しい端麗タッチでの、優しくも仄暗くビタースウィートな風合いを呈した、軽涼に流れ泳ぐような物憂きロマンティック・プレイがしっとりスッキリと、瑞々しい映えを見せた好内容である。ヨーロッパ耽美派の一典型らしい、アンニュイ&メランコリックな内省文学色〜心象スケッチ風のリリシズム理念や、当意即妙のサスペンスフルなインタープレイ手法、が骨格っぽく自然と豊富に搭載された、緩急のメリハリも満点のフレキシブルで滑脱な、結構小気味のいい邁進が続き、主役ピアノの、非常にきめ濃やかだがそう極端に陰にこもらず内的瞑想に没しない、一定のエンタテイメントや劇的構成をキッチリわきまえた、意外にシンプルな思い切りのよさもある「大きな筋運び」、が冴えて、退屈なく実に清新に楽しませてくれる。→エヴァンス・スタイルを先ず揺るぎないその基本根幹=語法の骨組にしっかり据えながら、妖しいダークネスやピリッとしたビター風味を微妙に増強、そして超デリケートな情感推移の機微〜ニュアンスも丹念に込めて、しかしトータル的には半ストーリー様のうねりや勢いが何げに備わった、スケール感ある中々鮮やかな大文脈をごく軽快流麗に、せせらぎっぽく形作ってゆくその、繊細かつ均整のとれた語り口は説得力抜群で余情も豊か。そこかしこに出張ってくるベース者の図太く饒舌なダイナミック・アクション攻勢もインパクト大。佳作。
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1.Step By Step
2.Things Of You
3.1000 Miles Voyage
4.Wanderung
5.Changing Walking
6.I'm Afoot With My Vision
7.If I Could See You
8.Improtune
9.Footprints
10.Myriads
11.Exodus
Fausto Ferraiuolo(p)
Piero Leveratto(b)
Alfred Kramer(ds)
2007年6月Genoa録音
在庫有り
CD