★Big Blueよりのピアノ・トリオ作「8 Years Old」(1991年)が大評判を呼んでいた、ジャズとクラシックの両フィールドで長らく精力的に活動を続けるフランスのベテラン・ドラマー:ジョルジュ・パチンスキー(1943年フランス生まれ)の、顔ぶれを一新したピアノ・トリオによる快作。2006年2月パリ録音。曲はメンバー持ち寄りのオリジナル。
★充分抑制の利いた、陰影深くも潤いある端正なp弾奏を中心に、3者がピタリと神妙に息を合わせた、中々きめの細かいアンサンブル&インタープレイが滑脱に展開される、奥行きも豊かな抒情派筋の好内容である。マイルドな歌心〜詩的ロマンティシズムを底流させた、風合いは穏やかで柔和、それでいて静かなサスペンスが絶えず渦巻く、リズム形式も刻々とフレキシブルに変移しつつの生鮮かつ機動的な行き方が続き、大方はpを主役としたメロディアスなアプローチを基調とするも、bとdsのやりとり(または各々の長めのソロ)にじっくりスポットを当てたダーク&レイジーな変則アクション曲や、スピリチュアルなソロ・ベース曲orソロ・ドラム曲、3者がアブストラクトな語法で真剣勝負の生々しいぶつかり合いを見せる辛口のフリー即興トラック、といった転回が好タイミングで現れるなど、道程は意外性充分で飽きさせない。
★一座の花形を務めるp者の、芯の通った堅くキレのあるクリアー・タッチでの、エヴァンスのヨーロピアン化っぽい流麗躍動型のロマンティック・プレイを根幹としつつ、より内省感を増した荘重で翳り濃い物憂げバラードや、渋味の利いた吟醸的ブルース節、硬質でビターなクール派バップ風のパーカッシヴ技、にも冴えたところを見せる、中々に表情多彩な立ち働きが好調だが、トータル的には決してピアノべったりではなく、dsやbのちょっとゲリラ暗躍っぽい動きも細かにクローズ・アップして、いい意味で焦点をぼかし、微妙な行間余白を多々生み出している、辺りが魅力のミソ。ユニーク編。
1. Emmi
2. Alma Mia
3. Free for three
4. Part One Fantin’s Song
5. Miss L.
6. Part Two for Helena
7. Patchwork
8. L’etang des Perches
9. Part three for Isa
Georges Paczynski(drums)
Laurent Fradelizi(bass)
Renaud Palisseaux(piano)
2006年2月23日,28日 録音
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