CATFISH RECORDS

★2023年に出た1stアルバムも好評だった、Alfieを始め首都圏のライヴ・シーンで活動している新進女性ピアニスト：小沢咲希(1995年東京都生まれ、洗足学園大学ジャズコースに学びユキ・アリマサ氏に師事)(先頃出た森田修史-tsの最新作にも名を連ねるなど、ここ近年多方面で活躍中)の、今回は、メンバーの入れ代わるピアノ・トリオを基本にうち1曲のみ趣向を変えてのマルセロ木村(g,vo)率いるブラジリアン・グループとの共演も聴かれる、快調セカンド・アルバム。

★繊細で折り目正しく透明感や潤いに富み、仄かに爽涼でもある流麗さと歯切れよさが表裏を成したクリアー・タッチのピアノが、打鍵の強さをもってダイナミックに硬質スウィンギン・グルーヴを体現するバップ・ピアノの正統らしい敏捷な躍動的行き方や、ブロック・コードを活かした軽妙なファンキー節、といった幾分オールド・ファッションなハード・バッパー然たる吟醸筋のアプローチを先ずは根幹とし、時折エヴァンス以降のモード系リリカル派の典型を示したアクティヴ&マイルドなロマンティシズム表現なども織り交ぜて文脈を転回させもする、しかしやはりその本領は伝統を重んじるアーシー・バピッシュな芸風にこそありそうなテイスティー&メロディック・プレイを闊達げに綴って、何ともアジな魅力を放ち、ベース陣&ドラム陣のツボを心得た堅実にしてスリルあるサポートもばっちりグルーヴィーに際立った、トータルとしてはごくオーソドックスな人情肌の大衆娯楽世界をノリよく愉しませる安定安心のハートウォーミング編。

★歌心とスイング感を何より大切にした、ブルース・フィーリングも潤沢なリリカル・エンタテインメントの鑑然たる単純明快で真っ当この上ないハード・バップ大会、が嬉々溌溂とノリノリに、なおかつインティメイトな和気あいあいムードも漂わせつつ抜群の鮮度で展開してゆき、晴れやかで風通しもよさそうな開放感ある道程の中で、小沢(p)のウォーム&テンダーでいて結構職人気質っぽさも感じさせるアドリブ妙技が、独特の軽みを伴って洒脱に冴え渡っており殊の外爽快だ。

→一部モード語法を使うところもあるものの、その根っこにあるのはアメリカン小唄派のオーソドキシーをしっかり汲んだ歌曲解釈とビ・バップ・ジャズの本質たる小粋で渋い殺陣アクション風のダイナミズム表現であり、ソリッド&スクエアーに強固な骨太の躍動フレーズを繰り出し、または軽涼な玉転がしタッチでダウン・トゥ・アースな漆黒の洒落た寛ぎブルース節を歌う、あくまで伝統志向の筆の進め具合に真価があって、時折メリハリ効果っぽく文体を転じても結局は手癖が出てそこへ戻ってくる、という「全身ファンキー・バッパー印」的なそうした個性のあり様は好もしい限り。サウダージ薫るボッサ調の転回トラック#08もナイスな清涼オアシス処。

01. Skylark
02. Good Bait
03. Raindrops Keep Fallin' On My Head
04. Anemone
05. A Stray Swallow
06. Black Bird
07. Too Close For Comfort
08. Sísifa esperança (feat. Marcelo Kimura group)
09. On A Clear Day
10. Danny Boy
＊all arrangements by Saki Ozawa

Saki Ozawa (piano)
Koji Yasuda (bass on 01, 02, 06, 09)
Takumi Awaya (bass on 03, 04, 05, 07)
Ryo Miyachi (electric bass on 08)
Pat Glynn (bass on 10)
Gene Jackson (drums on 01, 02, 06, 09, 10)
Yusuke Yaginuma (drums on 03, 04, 05, 07)
Marcelo Kimura (vocal + probably overdubbed chorus, guitar on 08)
Kan (percussion on 08)

ReBorn Wood Studio(東京都板橋区本町)録音
2025年日本作品

レーベル：ReBorn Wood INC (リボーンウッド)

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国内制作CD