★長年に渡りスタジオ・ワークも含め様々なセッションでしばしば顔を合わせてきた、中牟礼貞則(g)(1933年鹿児島県出水市=旧出水郡生まれ)と渋谷毅(p)(1939年旧東京府または旧東京市生まれ)という日本ジャズ界の至宝たる大ヴェテランの二人が、今回は差し向かいでガッチリ組み合った熟成感溢れるデュオ・ライヴ編。
★繊細さと荒っぽさが表裏を成したようなエレアコ・タイプ(もしくはひょっとしたらエレキギターを通電せずに弾いているように聞こえたりもするので"アコエレ"か?)の鋭利なキレ味あるギターが、幾分かの豪快な勢いを伴いひたすらブルージー・バピッシュに吟醸的グルーヴィー節を綴って、鮮度抜群にしてコク深い魅力を放ち、一方、抑制と節度ある端正な振る舞いでこれに応える繊細タッチ・ピアノのテンダネス&美メロ・センスに満ちたリリカル・プレイも、余情豊かな妙味を揮った、全編ハード・バップ魂とブルース・フィーリングそして歌心の泉たる嬉々溌溂のやりとりが続いて、ゴキゲンな豊饒気分を満喫させてくれる快演内容。
★インティメイトな和気あいあいさと背筋の伸びた精悍さがナチュラルに交差する、徹頭徹尾メロディアス&スウィンギンな人情肌リアル・ジャズの鑑たる躍動的語らいが展開してゆき、落ち着いたリラクゼーションやウォームネスに富むと同時に中々意気軒昂でもある、憩い気分と緊張感のバランス絶妙な道程の中で、両雄の、自然体で伸び伸びと本領を発揮したアドリブ至芸が、寛いでいながらしっかり気合の入った醸熟の冴えを見せて、誠に鮮やか。
★中牟礼(g)の、シャープ&ソリッドに尖った音色も生々しい気魄をみなぎらせつつ、単音フレーズとコードワークを縦横に織り交ぜてダイナミック&エネルギッシュに結構ガンガン迫る敏活アクション技が、程好く荒削りで芳醇かつ"圧"ある(この音圧は中々凄い!)雄渾の映えを示していて大いにスリリングに昂揚させられ、かたや渋谷(p)の、動きも烈しく攻め立てる中牟礼に比し折り目正しく柔和で整った優しさと温もりを身上とする(但し時折中牟礼に引っ張られてパワフルになるところもある)マイルド・バップ節の歌い様がまた、穏やかな中に力強いエモーションを秘めた幽玄深い"味"を漂わせて卓抜。
★剛健さや押しの強さをもってダイレクト=直接的に音楽を物語り大迫力で切々と訴えかける全身全霊猛ハッスルの中牟礼と、言外含蓄や間の妙そして飾らぬ控えめな端麗美を本領としていそうな静謐温厚で懐広い渋谷、の対比が絶品。
1. ビッグ・ブルース Big Blues (Jim Hall) 5:54
2. ザ・シングス・ウィ・ディド・ラスト・サマー 過ぎし夏の思い出 The Things We Did Last Summer (Jule Styne) 9:07
3. イフ・アイ・ワー・ア・ベル If I Were A Bell (Frank Loesser) 7:28
4. イン・ア・センチメンタル・ムード In A Sentimental Mood (Duke Ellington) 8:08
5. サムワン・トゥ・ライト・アップ・マイ・ライフ Someone To Light Up My Life (Antonio Carlos Jobim) 6:30
6. カム・レイン・オア・カム・シャイン Come Rain Or Come Shine (Harold Arlen) 6:29
7. ハウ・ディープ・イズ・ジ・オーシャン How Deep Is The Ocean (Irving Berlin) 7:14
中牟礼 貞則 Sadanori Nakamure (guitar)
渋谷 毅 Takeshi Shibuya (piano)
2023年4月15日東京・国立NO TRUNKS(東京都国立市中1丁目)でのライヴ録音
レーベル:
Free Flying Productions
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2025年4月9日発売予定 受注締切:2025年3月16日
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