★今やスカンジナヴィアのジャズ界を代表するトップ・ベーシストとなったお馴染みの人気者:トーマス・フォネスベック(1977年デンマークのヘルシンゲル生まれ)の、今回はイタリア-ローマへ赴き、過去フォネスベックとは何度も共演を重ねてきた名匠:エンリコ・ピエラヌンツィ(p)を実質的な主役に立て、背後には大黒柱のロベルト・ガット(ds)がガッチリ・ドッシリ腰を据える、という強力鉄板のピアノ・トリオを基軸としつつ、曲によってはソプラノサックスのロザーリオ・ジュリアーニや女性ヴォーカルのヴァレンティーナ・ラナッリが加わって彩りを添える、中々の濃密作。
★バネとウネりが精細に利いていつつ豊かな歌心の備わったウォーム&メロディック・グルーヴぶりを随所に浮かび上がらせるベースの活躍もテイスティーに光る中で、嬉々として愉しげに抒情派ハード・バッパーになりきって見せたり哀愁香る翳ったクール・ロマンティストの本領を発揮したりのピアノが、ゆとりと節度をもって端正に華を成し、シャープ&センシティヴに斬り込んでくるドラムや切々と濃やかにさえずるソプラノ、涼やかかつ爽やかに軽々と宙を舞う女性ヴォーカル、らも各々ピタリとツボにハマりながら魅力的色彩を加えた、トータルなアウトラインとしてはヨーロッパ耽美浪漫派タイプの行き方を大方の基調にハード・バップのノリも自ずと適量ブレンドされた、あくまで分かりやすい娯楽指向の快演が続いて、スッキリとした興趣が満喫できる充実内容。
★旋律や和声の美と律動的ノリのよさを何より重んじ、ブルース由来の旨味やユーロ系ならではのロマネスクな詩情も巧まず豊富に有した、バランス絶妙のリリカル演奏が流麗滑脱に展開され、座長であるフォネスベック(b)のスピリチュアルで雄弁なアドリブ技も全体の均衡を決して崩さぬ形でそこかしこに際立ちつつ、花形役ピエラヌンツィ(p)のリキまず気負わずさほどシリアスにもならず一ソロイストに徹した、レイドバック感漂うさすが熟練した語り口の粋が恐らくはフォネスベックの意を汲んで軽やかに冴え渡っており、見事。
→(ピエラヌンツィの)自身のリーダー作の時とは違って過度な緊迫を避けリラックスした態から繰り出される流れるようなメランコリック節には、しかし巧まざる彫りの深い陰影美やクールネスが宿り、とは云っても俯瞰すれば至って親しみやすい、エヴァンスの流れを正統に汲んだしっとり潤い豊かで折り目正しくも美メロの宝庫たる弾鳴キャラがチョチョイのチョイと余裕で立ち現れていて(しかもあくまでサイドマンとしての分をきちんとわきまえたその真摯な振る舞いが素敵!)、全く鮮やか。
★孤高のピエラヌンツィに少々喰われ気味ながら鋭利に躍動するジュリアーニ(ss)や夢幻の海を泳ぐラナッリ(vo)らの敢闘もまたナイスな好アクセント。
Side A:
1. Call It Love
2. Orphant In Rome
3. Song For An August...
4. Blue Waltz
Side B:
1. Molto Ancora...
2. Periph
3. Il Giardino Di Anne
4. Come Rose Dai Muri
Enrico Pieranunzi (piano)
Thomas Fonnesbæk (double bass)
Roberto Gatto (drums)
Rosario Giuliani (soprano saxophone on A-2)
Valentina Ranalli (vocal on A-4, B-4)
2023年9月6日-7日イタリアのローマ録音
2024年デンマーク作品
レーベル:
Storyville
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限定生産・輸入盤LP
入荷予定時期:2025年3月下旬 受注締切:2025年2月27日
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