★モダン・ジャズ・ドラムの革新的巨匠:エルヴィン・ジョーンズ(1927年ミシガン州ポンティアック生まれ、2004年ニュージャージー州イングルウッドで死去)の、本盤は、スティーヴ・グロスマン(ss,ts,fl)、デイヴ・リーブマン(ts,ss)、ジーン・パーラ(ペルラ)(b)との最強カルテットによる、1973年ボストンでのライヴ音源、=1973年1月16日にWBCN-FMラジオで放送されたJazz Workshopの公演レコーディング、を初アルバム化した発掘作品。
★縦横無尽に全方位から速射砲撃をカマしてくるようなドラムの、ダイナミック・スリリングにしてノリノリな大攻勢や、ドライヴ感全開で敏捷に跳ね躍りまくる強烈にバネとウネりの利いたベースの激動、に猛然とプッシュされながら、フロントに立つサックス2体の、モーダル・アグレッシヴだったりブルージー・ソウルフルだったりスモーキー・バピッシュだったりの、表情に富み潔く伸びやかに完全燃焼するアツいエモーショナルなインプロ敢闘が、胸のすく壮快この上なき「突き抜け昂揚気分」を満喫させてくれる濃密内容。
★1970年代流モード系硬派ハード・バップの王道ド真ん中を迷いなく決然と突き進む、ワイルドなパッションとスピリチュアリティに満ちた「燃え尽きて悔いなし!」のモーレツ・エネルギッシュ大熱演、が圧倒的迫真力と重みをもって意気軒昂に展開され、タコ足の群れ(?)がけたたましく絨毯爆撃的に猛襲してくるが如きエルヴィン(ds)の容赦なき暴れぶりや、律動感の中に妖しい情念を孕んだパーラ(b)の波打ち鳴動、もそこかしこに濃く鮮烈な存在感をバッチリ浮かび上がらせる群雄割拠の予断ならぬ戦国的道程・音空間の中で、花形役を担うリーブマン(ts,ss)とグロスマン(ss,ts,fl)の、ドッシリ腰を据えて妥協なく全身全霊で烈火の如く堂々燃え盛り、猛りまくるアドリブ奮戦が、清々しいまでの大豊饒地帯・大興奮地帯を形作って、問答無用にスカッとさせられる。
★リーブマンの、豪快で荒々しい野性味や猛爆性をフルスロットルで発揮するところもある反面、独特の思索性や理知性を漂わせながら慎重に筆を進め、作劇的ストーリーをじっくり描いてゆく辺りの中々インテリジェントな語り口がまた妙味だったりもする、メリハリの効いた勇躍が好調で、一方グロスマンの、こちらもやはり猪突盲進一辺倒ではなく、結構ジワリジワリと内なる情動を刻々と変質させ、煮えたぎらせてゆく、ゆったり構えて坂道を登るようなリアル・エキサイティングなドラマティック・アプローチにさりげなく懐深い泰然たる魅力があったりと、両者ともこの時代らしくコルトレーンの影響をストレートに受けつつも、それぞれ独自の揺るぎない個性を確固と打ち樹てた吹鳴のあり様が、抜群の説得力、抜群の旨味を放っている。
1. Sambra
2. New Moon
3. I'm A Fool To Want You
4. The Children's Merry Go Round March
5. Outro
Steve Grossman (soprano saxophone, tenor saxophone, flute)
Dave Liebman (tenor saxophone, soprano saxophone)
Gene Perla (bass)
Elvin Jones (drums)
1973年1月米マサチューセッツ州ボストンでのライヴ録音
レーベル:
Agate Equinox
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輸入盤デジパックCD