★ローランド・ハナやジミー・ヒースに師事し、1996年よりニューヨーク・シーンで演奏、硬派一徹で鳴らし、自主盤やMaxJazz、Cellar Live、Blau等よりの諸作に好評を集めてきた、ケレンなきオーソドックスなバップ・ピアノの使い手=中堅人気者:ジェブ・パットン(1974年米メリーランド州ケンジントン生まれ)の、今回もまたスペインの精鋭達と組んだテナーサックス入りカルテットによる一編。
★強固で堅牢な、陰影にも富んだストーン・タッチのピアノが、伝統的バップ・イディオムに律儀に則った殺陣の型っぽい鋭角的ダイナミック・アクションを変らず基調とし、転回として時折モーダル・アグレッシヴなフレーズやファンキー節なども盛り込むが、トータルとしては「頑固一徹バップ職人」的イメージから逸れることなく硬質で渋〜い魅力を泰然と放ち、
→これに絡むテナーの骨太肉厚なハード・ドライヴ感と渦巻き波打ちパワーに溢れた雄々しき咆哮がまた、ピアノともよくマッチしてオーソドックス体質のコク旨な妙味を揮った、全編ワンホーン体制による純正ハード・バップの真髄然とした燻し銀の趣あるスウィンギン演奏が続いて、壮快に昂揚させ、また滋味深く和ませてくれる鉄板の好投内容。
★歌心、スイング感、ブルース・フィーリング、バップ・スピリットをあくまで揺るがぬ柱とした、ごくシンプル・ストレートな徹頭徹尾伝統志向の潔い、そして人情味溢れるド真っ当ハード・バップ大会が敏活溌溂と展開してゆき、ベース&ドラムのリズム演出には幾分か現代感覚を反映して意表を衝いてくる面もあるが、大方の見せ場を受け持つパットン(p)とRubia(ts)のプレイは気持ちいいぐらいに"昔ながらのバップ一直線"を貫いており、彼らの1ミリもブレない真っ向勝負のアドリブ妙技には清々しく胸のすく思いだ。
★パットン(p)の、バップ・ピアノのオーソドキシーを遵守したソリッド&スクエアーな固く鋭い立ち回りを見せるも、例えばバリー・ハリスのような純度の濃さがあるわけでなく、そこはそれ今日に生きる者ならではの巧まざる洗練さやアップデート感が自ずと備わっている辺りに独自の清新味も認められるなど、質実剛健の武骨キャラに作為なきネイティヴっぽいソフィスティケートさ・ジェントルさが微量加味された弾鳴のあり様は、硬派・風流にして大いにフレッシュでもあり好感度大。
★一方Rubia(ts)の、グリフィン、ロリンズ、デクスター、モブレーらに底通する全く迷いのない生粋バッパーぶりもドッシリ安定していてこれまたナイス。
1. Cheesecake (7:33)
2. Whisper Not (5:48)
3. Take The Coltrane (5:28)
4. Darn That Dream (7:35)
5. My Heart Stood Still (4:49)
6. Solar (7:16)
Santi de la Rubia (tenor saxophone)
Jeb Patton (piano)
Ignasi Gonzalez (bass)
Roger Gutierrez (drums)
2022年5月17日スペイン-バルセロナのEstudi Medusa録音
2025年スペイン作品
レーベル:
Fresh Sound
在庫有り
輸入盤CD
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