★人気ピアニスト:アレッサンドロ・ガラーティに見出されてレコーディング・デビューを果たしてから早5年余りになる、イタリアの実力派歌姫:Elle=エル(ルクレツィア・フォン・ベルガー)(ジャズを歌い始める前はオペラや合唱の分野で活躍していた)の、今回もまたA・ガラーティ・トリオの全面バックアップを得た3年ぶり・寺島レコードからの3作目となる最新アルバム=スタンダード集。
★ピアノ・トリオの流れるように端麗優美な妙演に導かれて、低音の落ち着いた安定感と高音のしなやかな張りや爽涼さの兼ね合いも絶妙のクリーン・ヴォイスが、時折ややハスキーに掠れる辺りも中々チャーミングに、吐息っぽく語りかけるようなメロウ・テンダーなウィスパリング調とリズムに乗ってスウィンギンに弾むブルースの旨味を豊富に含んだ軽妙小唄節、を按配よく掛け合わせた基本はあくまで優しい抒情指向のロマンティック&ファンタジックな寛ぎめ演唱を淑やかかつ闊達に綴って、瑞々しくもちょっと儚げに煌めき瞬く鮮度抜群の魅力を放ち、ファンキー・バップとヨーロピアン・エレガンスの融合的ピアノ以下、バック陣のツボを心得た瞬発力あるサポートもテイスティー・グルーヴィー&フレッシュ・スリリングにアジな彩りを成した、全般に、お馴染みのスタンダード曲群を真っ当なアレンジ構成で安心して愉しませるハートウォーミングな充実内容となっている。
★インティメイトな和気あいあいのリラクゼーションと背筋の伸びた敏活なスイング感が全体を貫く、居心地のいいサロンで一服休憩する気分のごく親しみやすい快調な行き方が続き、1曲1曲は簡潔にまとめられたテンポよく進む順風満帆の道程の中で、ガラーティ(p)の気配りとウィットとニュアンスに富んだ小粋プレイ始め、インスト勢の何げに痒い所へ手の届く周到バックアップにガッチリ支えられて、エル(vo)の、リキみの抜けた自然体調子を保ちつつ誠心こめて丁寧に情感を活写する柔和でムーディーな歌い回しが、堂々たる練達を感じさせる冴えを、キレを見せて爽快だ。
→基本的には英語歌詞をナチュラルかつ丹念に精魂込めて唄い込む"語り節"的な抒情派スタイルを身上としていて、表面上はヨーロッパらしさよりもアメリカ人の芸風に寄せている印象があり、その、一声たりとも疎かにせずソフト&リラクシングにしっとりと囁きかけてくる真摯な唱法(ジャズ・ヴォーカルならではのグルーヴ・センスやブルース・フィーリングも巧まず潤沢に備える)に清新に魅了されるが、よく聴いてみると発声・発音面にイタリア訛りとまでは行かないまでも微妙に癖が見え隠れするところもあって、結果、アメリカン・リリカル路線の軽みや洒脱さにイタリアンらしいおおらかな牧歌性が隠し味的に少量加えられた、独自の歌声キャラが揺るぎなく立ち現れており、これが殊の外魅惑的で説得力も絶大。また、短い尺=限られた出番の中に旨味のエッセンスを事も無く凝縮する感じな、ガラーティ(p)の高密度なソロも随所で懐深げに光っている。
01. Estate
02. Fly Me To The Moon
03. I'm Through With Love
04. Misty
05. My One And Only Love
06. Round Midnight
07. Stars Fell On Alabama
08. The Moon Was Yellow
09. The Thrill Is Gone
10. We Will Meet Again
Elle (vocal)
Alessandro Galati (piano)
Ares Tavolazzi (bass)
Bernardo Guerra (drums)
イタリア-フィレンツェのLarione 10 studio録音
2025年作品
レーベル:
寺島レコード
御予約商品
2025年1月22日発売予定 受注締切:2024年12月14日
国内制作セミW紙ジャケット仕様CD