★NY主流派シーン第一線で多忙を極めるヴェテラン辣腕ドラマー:カール・アレン(1961年米ウィスコンシン州ミルウォーキー生まれ)の、今回はクリス・ポッター(ts,bcl,ss)&クリスチャン・マクブライド(b)とのトリオを基本体制とした硬派な一編。
★キレ味シャープかつ精確に律動的ビートを刻む堅牢そうなドラムや、地べたを這い回り転げ回りながらバネを利かせて勢いよく撥ね、ウネる重厚でブットいベース、に上手く触発されつつ、キュッと引き締まった隆々トーンのテナーが、ハード・ドライヴ感全開で豪快に渦巻きを描き、ブルース、バップ、モードのエッセンスを詰め込んだ朗々にして渋い歌い躍りっぷりを実にイキイキと愉しげに見せて雄渾堂々の華を成した、全編男気溢れるサックス・トリオの本道たるダイナミック熱演が続いて理屈抜きで壮快に昂揚させられる、中々武骨な敢闘内容。
★歌心とスイング感に潔くポイントを絞り、ブルース・フィーリングやバップ・スピリットも自ずと潤沢に備えるが甘さは幾分か控えめの、ゴツいタフネスを基本身上とするエネルギッシュ&パッショネートな躍動的力演が腰を据えて強壮に展開され、鋭敏精細な確固たるリズム・キープ力とドスのある砲撃的パンチ・アタック力を併せ持ったアレン(ds)の分厚い攻勢や、溌溂闊達そうにブラック・スピリチュアリティもこってりと雄弁な唄い様を見せるマクブライド(b)のアーシー・メロディック・スウィンギン鳴動、(→この2人の活躍はまさしく"鉄板"の揺るぎなさである)にも随所でスポットが当てられて色彩感やメリハリがノリノリに齎される快調な道程の中、彼らに適宜煽られ刺激される恰好で、一座の花形ポッター(ts他)の、ここではあくまで一ゲスト・ソロイスト、一ハード・バッパーになりきった嬉々としてよく歌うアドリブ奮戦が、清々しくも凛々しく勇ましい見せ場を飾りきってゴキゲンだ。
→逞しくも猛々しげに絞りが効いていながらスムース・ドライヴィングに流線形を描くような独特の端麗美も備わったその、ある時はアグレッシヴに烈しく吠え、ある時はジェントル・リラクシングに丸みある柔らかサウンドを体現する、現代流ハード・バップ・テナーの正統〜理想的な典型然とした(吹くのが楽しくでしようがないといったイメージの)吹鳴のあり様は、聴く者をポジティヴなおおらか気分でエキサイトさせ感動させるスカッとした魅力に満ちており、低くウォームに唸るバスクラや、甲高くさえずるソプラノ、辺りの持ち替えも按配よく転回アクセント〜リフレッシュ効果を成していて好インパクト。#08に現れるJ・リー(p)のリリカル弾奏も覿面な潤い演出役を果たしてナイス。
01. Parker's Mood
02. Happy Times
03. A Morning Story
04. Hidden Agenda
05. Alter Ego
06. The Inchworm
07. L's Bop
08. Song For Abdullah
09. Roy's Joy
10. James
11. They Say It's Wonderful
12. Put On A Happy Face
Chris Potter (tenor saxophone on 01-03, 07, 09-12) (bass clarinet on 04, 08) (soprano saxophone on 05, 06)
Christian McBride (bass)
Carl Allen (drums)
John Lee (piano on 08)
2024年1月13日米ニュージャージー州イングルウッド・クリフスのVan Gelder Studio録音
2025年カナダ作品
レーベル:
Cellar Music (Cellar Live)
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