★フランス-パリを拠点に活動するイタリア血筋の人気オールラウンド個性派ピアニスト:ジャン=ピエール・コモ(1963年フランスのパリ生まれ、両親はイタリア人)の、今回は、好評を得ていた一作「Infinite」(2018年リリース)の続編にあたる、メンバーも先作と同じテナーサックス入りのカルテットを率いての一編。
★透明感や潤いに富むと同時に鋭角的キレのよさも備わった端正で精緻なクリアー・タッチのピアノが、詩情溢れるロマンティック傾向と力学主義っぽく躍動感を追求するダイナミック・アクション性とを縦横にクロスさせた、現代モード系情緒型バピッシュ・ピアノの一典型らしいメロディック・スウィンギン・プレイを歯切れよく敏活に綴ってスッキリと爽やかな魅力を放ち、一方、アーシー・ソウル歌謡めいたブルース・テイストとヨーロピアンらしい翳りあるクールネスを掛け合わせつつ滑脱に舞うテナーの活躍も、ピアノとは上手いコントラストでデリシャスに彩りを添えた、加えてベース&ドラムの瞬発力ある半遊撃的サポートやキーボードによると思しきカラフル&ムーディーな音響効果演出もそれぞれピタリとツボにハマッて、全編軽やかに踊るようなグルーヴィーな哀愁世界を小気味よく清々しく愉しませる快投内容。
★歌心と今日流のスイング感を何より大切にし、R&Bやゴスペルにも通じるブルース・フィーリング並びに伝統的バップ・スピリットも巧まず豊富に有した、コンテンポラリー・リリカル・ジャズの正統らしい明快晴朗で親しみやすさ抜群のマイルド・ポエティック奏演が、一定の柔和さと軽みをもって流れるように展開してゆき、コモ(p)やパンザニ(ts)のリキみを解いた自然体調子で優しく美メロを唄うアドリブ妙技が、生鮮かつ簡潔に冴え渡っていてゴキゲンだ。
★コモ(p)の、繊細な機微を含んだちょっぴり物憂い浪漫の映し出し様や、硬質感あるモーダル・バピッシュなダイナミズム表現、に含蓄深い円熟した妙味を発揮して見せるが、あくまで力は八分目以下、腹も八分目で潔くサッと引き揚げてゆく感じの、敢えてあっさりした薄味のサウンドに仕上げつつ幽玄めいた余韻を残す、という、そうした、流れに身を任せるが如き語り口が中々懐の広そうな本領を示しており、かたやパンザニ(ts)の、コモに比してブルース由来の芳醇なコクの顕れ様に特徴があるものの、やはりコモと同じく脱力調子を保ったそのレイジー&デカダンな幾分けだるい吹鳴がまた何とも味わい豊かでナイス。
1. Ivresse
2. Dans Mon Cœur
3. M Et M
4. Quite Knight
5. Bonheur Caché
6. Where Is Harry
7. Paris Lausanne
8. Ce Qui Reste À Venir
9. Ils Étaient 3
Christophe Panzani (tenor saxophone)
Jean-Pierre Como (piano) (keyboard on 1, 4, 6)
Bruno Schorp (double bass)
Rémi Vignolo (drums)
2024年作品
レーベル:
Bonsaï Music
在庫有り
輸入盤デジパック仕様CD