★SocadiscやGaya Music Pro.等よりの諸作に好評を得てきたフランスのキャリアある個性派テナーサックス(本作では一部アルト・フルートやソプラノサックスも吹く)奏者:サミ・ティエボー(1978年コートジボワールのアビジャン=Abidjan生まれ)の、今回は、自身のテナーサックスを中心としたカルテットにフルートも加えた5人体制を先ず大方の基軸に、曲によってヴォーカル陣や民俗管楽器、民族パーカッション(更にはキーボード〜シンセ等による電子音響など)も参入して来つつの、アルバム全体としては、根っからのサーファーでもあるというティエボーがサーフィンで馴染んだ海や波をテーマとしたオリジナル曲集。
★幾分エキゾティックめなところもあるパーカッシヴ・リズムの上で、モーダル・バピッシュにして哀愁漂う渋旨テナーサックスを始め、アーシーなフルート、クール・ジェントルなピアノ、スピリチュアリティとエスニック情緒溢れる男女ヴォーカル陣、が次々と飛び交ってはカラフル&テイスティーに見せ場を繋いでゆく、トータルなアウトラインとしては先ず主役であるティエボーのテナー吹鳴が至ってストレートアヘッドなメインストリーム・ジャズの趣を醸し出すものの、それを取り囲むサウンド群の半ば民俗音楽めいた色合いも効いて、ティエボー流のワールド寄りスピリチュアル・ジャズとでも云えそうな音景色が生み出された中々のユニーク内容。
★ティエボーのテナー・プレイにのみ着目すれば現代流ハード・バップの一典型を示した、即ちコルトレーンの間口を広げてよりスマートに一般化した感じのスモーキー・ダイナミック・ブロウが随所で快打をキメていて、これはこれで大いに聴き応え&ウマみがあるが、バンド全体を俯瞰すると一種のフォーク・ミュージック或いはアンビエント系の風情も濃いスピリチュアル世界が形成されている、という絶妙のバランスでリアル・ジャズとエキゾティズム路線を並立させた音空間が現出しており、そうした中で、ティエボーのメインストリーマーとしての力量やセンスと楽想面での独創的エスノ・カラーの双方が極めてフレッシュ&デリシャスに愉しめる寸法だ。
★ティエボー(ts)の、ややアグレッシヴな攻勢面もイイが、本盤ではむしろ落ち着いた脱力調子で繰り出される"歌謡メランコリー"とも云うべき憂い漂う哀切フレージングにこそ無双の本領=コク深さがあるようにも思え、また、結構ソウルフルなブルース傾向の強いフルート吹奏や一転して電子機器を使った幻覚的サイバー・トリップ演出(あと生録りされた環境音を鳴らしたりとか)など八面六臂の活躍を見せるMarine Thibaultの多彩な助演も光っていたりと、道程はアジな聴きどころが目白押し。
01. In Waves (5:24)
02. Devenirs (4:12)
03. Rituals (4:31)
04. Horizons (5:31)
05. Vat Sisakhet (0:58)
06. Theuykhong (4:27)
07. In Waters (2:00)
08. La Chanson d'Arnaud (3:04)
09. In Desert (2:16)
10. Dakhla (4:42)
11. Au bout du vent (3:37)
12. Chrones (3:06)
Samy Thiébault (tenor saxophone, alto flute, soprano saxophone, composition)
Marine Thibault (flute, keyboard = synthesizer, sequencer)
Léonardo Montana (piano)
Damien Varaillon (double bass)
Arnaud Dolmen (drums, Ka drum)
Andy Jean François (Ka drum)
François Ladrezeau (lead vocal)
Cynthia Abraham (lead vocal, back vocal)
Armelle Cippe (lead vocal, back vocal)
Marie Sylvie Benoit (back vocal)
Huguette Alaïs (back vocal)
Somsouda Thepsouvanh (Khen = 民俗管楽器?)
Khamsouan Vongthongkham (Vot = 民俗管楽器?)
2024年作品
レーベル:
Gaya Music Production
在庫有り
輸入盤三つ折りデジパック仕様CD
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