★進取性に富んだフランスの突出個性派バップ・ピアノ名手:マルシアル・ソラール(マーシャル・ソラール)(1927年アルジェリアのアルジェ生まれ、1940年代末にフランスへ移住、両親はフランス人)の、せんだってCD化され好評だった「MARTIAL SOLAL TRIO」に続いてSérie Teoremaから今回リリースされた本盤は、先作と同じジルベール・ロヴェール(b)&シャルル・ベロンツィ(ds)との当時の鉄壁レギュラー・トリオによる、ソラールはピアノとオルガンを弾き分ける1965年10月パリ録音、フランスColumbia原盤の傑作(自作曲集)「Son 66」に別テイク1つをプラスした世界初CD化版。
★骨太くも鋭く尖った硬質パーカッシヴ・タッチのピアノが、ダイナミズム全開で敏捷に押しまくる圧倒的ハード・アクションを見せながら、随所にブルース&バップ由来の旨味も多々覗かせる、基本はバッパー気質のしかし甘くないピリッとスパイスの効いたソリッド・スウィンギン・プレイを精悍軒昂げに綴って、凛々しくも結構アーシーに迫真白熱の見せ場を堂々と揺るぎなく飾り、そうした速射砲撃の嵐っぽいアタッキングなピアノの大立ち回りの一方、後半はオルガンに転じてこちらもシャープな音色で独特のニガみや翳りを含んだ一種の殺陣ブルージー・グルーヴとも云うべき激動感溢れる音空間を創出し、上手く興趣を転回させた、全体を通じソラール一流の曲芸(=離れ業?)めいたスピーディー・アクティヴ攻勢の連続で、迫力も満点に聴く者を昂揚させる敢闘内容。
★スピリチュアルにウネり唸るロヴェール(b)や賑々しく速攻を掛けてくるベロンツィ(ds)の縦横無尽な活躍も光る中で、ソラールの磨き抜かれた超絶技巧をあくまで軽々と事も無げに揮う躍動パワーとスピード感に満ちた猛襲ぶりが卓抜なキレを見せる、エキサイティング至極の道程となっており、その殊の外ハイ・テクニカルでありながら理屈を越えた気魄で迫ってくるハードコア熱演には大いに驚愕させられる。
★ピアノにおいては、固く角張った音色をフルに活かしつつアクロバティカルに大暴れする、カタギのジャズから離れよう・遠ざかろうとの意図も感じ取れるアクション徹底重視の破壊力溢れる強襲を基調とするが、その苦味走った真剣勝負の力学的疾駆驀進の様は冒険心満点ながらフリーとは異なり、変り種だがバップ・ジャズの範疇にギリギリとどまっている、辺りのバランスのとり具合が絶妙で、一方オルガンでは、そうした速弾きのダイナミズム表現とオルガン・ジャズならではのダウン・トゥ・アース&ソウルフルな趣とをソラールなりに融和させんとした行き方にまた新味があったりと、全般に中々ユニークすぎる芸風・作風に耳からウロコの独創作に仕上がっている。降参。
01. Morceau De Cantal 7:43
02. Archiduke 3:58
03. Leloir Est Cher 5:25
04. Foret Cinghalaise 3:38
05. Ile De Ré Bémol 4:57
06. Hammond Ré 5:19
07. Mercredi 13 3:03 (solo organ)
08. Ballade Pour Mille Pattes Et Percussions 2:10 (solo organ)
09. Jaunisse 4:39
10. Archiduke (original version) 3:58
*all compositions by Martial Solal
Martial Solal (piano on 01, 02, 03, 04, 10) (organ on 05, 06, 07, 08, 09)
Gilbert Rovère (bass except 07, 08)
Charles Bellonzi (drums except 07, 08)
1965年10月11-13日フランス-パリ録音
レーベル:
Série Teorema
在庫有り
国内制作・紙ジャケット仕様CD